最近、DOKKENのアルバムである『BACK FOR THE ATTACK』を取り出して聴いた。
このバンド最高傑作といわれているアルバムだし、88年の発表ながらいまだに入手可能なのは凄い。
このアルバムの再来を、94年の再結成時に期待していたのだが、それは叶わなかった。
その再結成アルバムと次のアルバムで、再びジョージ.リンチ(g)が抜けてしまったからだ。
この人が作曲の面で大きな貢献をしていたことは明白なのだ。
このバンドはシンガーのドン.ドッケンとジョージの仲が悪いことは昔から有名だが、それでもヒットはしていたのだ。
DOKKEN
そういったことは年を重ねるごとに修復不可能になってしまうのは古今東西変わらぬ事実のようだ。
やりたくない人と一緒に無理やり一緒にやっていても、かなりの心労になってしまうのは目に見えている。
3日坊主になってしまうのだ。
インターネットでバンド名で検索すると、そのバンドが出したアルバムがすべて閲覧することができる。
しかし、ジョージ.リンチが自分がイニシアティブを握って作ったバンドであるLYNCH MOBは、94年のDOKKEN再結成で一度消滅したが、その後またできたのは知っていたし、90年代半ばのDOKKENの来日公演後のインタビューでDOKKENよりもやる気があるのも目に見えていたのだ。
しかし、そのLYNCH MOBで何度かアルバムを出していたのは、何となく知っていたが、最近になってウィキペディアを調べるとその数が多いのに驚いた。
その数13枚なのだ。
しかも、本家バンドであるDOKKENのスタジオアルバムである11枚よりも多いから驚きだ。
89年にDOKKENが解散し、ドン.ドッケンは自らの名を冠したDON DOKKENを結成し、ジョージはLYNCH MOBを決成し、それぞれアルバムを出し、91年には来日公演をも果たした。
LYNCH MOB
しかしDON DOKKENのアルバムはかなり出来が良かったが、LYNCH MOBのはそれほどでもなかったのだ。
どうもジョージは、自分がイニシアティブを握って作るといいものが作れないタイプのようだ。
しかしドンは、良きミュージシャンを集める能力にたけているようで、DON DOKKENにおいてはその手腕をいかんなく発揮して素晴らしいアルバムを作った。
しかし、ジョージとのケミストリーによっていいアルバムが作れていたことは、DOKKENのアルバムを聴けば明らかだろう。
ならば、2人が集結してアルバムを作れば、という意見にもなるが、そう簡単にいかないのがこのバンドの難点なのだ(笑)。
まるでデヴィッド.カヴァーデールとジョン.サイクスとまたWHITESNAKEで一緒になればとか、氷室京介と布袋寅泰が一緒になってまたBOOWYを作ればといった議論と一緒だが、いずれも不可能なのも一緒だ(笑)
しかし、両者とも、中級ホールで数回の公演が実現できたのは、本家DOKKENでの名声や実績があったらからだろう。
当然両者ともDOKKEN時代の曲をライヴでもしていた。
しかし、そういった昔取った杵柄だけでいつまでも、人気の維持ができるはずはない。
LYNCH MOBのセカンドアルバムである『LYNCH MOB』はまた不評を博した。
前作同様『BURRN!』では70点で終わった。
これによってLYNCH MOBへの情熱はほとんどなくなった…。
その後、DON DOKKENは解散し、DOKKEN再結成に向けて動いたのだ。
そして再結成アルバムを作り、来日公演もおこなった。
その時のアルバムはそれほど良くも、悪くもないといった感じだった。
でもいつまでも所有していたいと思えるものがあるので、このアルバムを買ってから今まで売ろうと思ったことはない。
しかし、次のアルバムである『SHADOWLIFE』がかなりの不評で終わってしまったのだ。
『BURRN!』のレビューは3人によってなされていたが、2人が70点台をつけていたと記憶する。
それに伴う来日公演も中級ホールで刊行されたが、空きが目立っていたようで、このアルバムからの曲はしらけたが、往年のヒット曲では盛り上がるという状態だったようだ。
その後、ジョージは脱退を表明してLYNCH MOBを再結成して活動を続けていたようだが、DOKKENはジョージ抜きで続行した。
正直書くと、私はデビュー作とセカンドの2つのLYNCH MOBのアルバムにはほとんど興味を覚えなかったし、DOKKENのアルバムは『BACK FOR THE ATTACK』はかなり良かったが、それに準じるアルバムを2つくらい作ってくれたら必ず来日公演に行くというほどになったが、そうはならなかったので関心の外になっていたのだ。
しかし、DON DOKKENのデビュー作は何度聴いたかわからないほどのめりこんだのだ。
あのバンドが続行していたらどれだけよかったかわからないほどだ。
そして、やはりジョージとドンの確執は当然あったようだが、両者とも大人になったようで、互いに罵り合うこともなく、平衡状態を続けていた。
そして両者は『LOUD PARK 09』に出演し、ドンはLYHCH MOBのステージに飛び入りしたようで微笑ましいことではないだろうか?
そしてそれから数えて7年後にオリジナルの再結成メンバーで日本に来て単独公演はもちろん、『LOUD PARK』の初日にセカンドビルとして登場した。
それは当然だろう。
80年代にこのバンドは3枚のアルバムで全米プラチナを獲得したのだから。
ハードロック華やかなりし80年代といえども、これだけの記録をした例は、そうあるものではないのだ。
トリだったSCORPIONSに次ぐ2番目の実績だったのだ。
その年に行われた来日公演の模様を収めた『RETURN TO THE EAST LIVE』が発売になったが単独公演の映像が入っているのみで、『LOUD PARK』での映像はなしだった。
『RETURN TO THE EAST LIVE』
『LOUD PARK』での雄姿を観た私は残念至極であった。
それ以降、このバンドはオリジナルメンバーでのスタジオアルバムを作る気配は一切なしだ。
STRYPERのマイケル.スウィートとドンが一緒になってSWEET / LYNCHなるバンドを一時的に結成してアルバムを作ったり、ドン抜きでTHE END MACHINEなるバンドを結成してアルバムを作ったりしているが、いずれもオリジナルメンバーでの活動ではないのだ。
これから先どうなるかわからない。
再結成での、94年のアルバムを作った時には、往年のファンは「またプラチナアルバムを作ってほしい!」と思った人もいただろうが、残念ながらそれは叶わなかった。
今のようなネットでいろんなバンドの、いろんな音が聴ける時代ではなかった当時においては、まだまだゴールドやプラチナを獲得することは可能な時代ではあったが。
それをハードロックバンドにとって難しくしたのは、DOKKENも参加した88年に行われた『VAN HALEN'S MONSTERS OF ROCK』に、自分よりも前に出演したMETALLICAが91年に出した『METALLICA』が空前のヘヴィでラウドな音楽ブームによってであったのは、今思えばかなり歴史的皮肉というほかない。
しかし、彼らが3つのプラチナを獲得して、多くの人を魅了した偉業はいつまでも残ることは間違いない。
DOKKEN、RATT、GUNS N' ROSES、EMPEROR、BON JOVIといずれもオリジナルメンバーでアルバムを、しかも傑作アルバムを作って来日公演をおこなってほしいとファンなら誰しも思うが、メンバーの方はそういう思いを描いても精神的な、手続き的な障害が複数ありなかなか実現できなくなるのだ。
アルバムを出せば出すほど、それが世界中で勉強されている英語で歌われたCDであれば、世界中で買われ、聴かれれば印税が入ってくる。
またいろんなバンドの曲を編集したコンピレーションアルバムが出されて、それが売れたらそこでまた印税が入ってくる。
またカラオケで歌われても印税が入ってくる。
ゆえに、そんなに心身ともに苦労してアルバムを出さなくても食うに困らなくなるのだ。
そういう理由で、ベテランバンドになればなるほどアルバムを出さなくなるのだ。
ファンとしては恒常的にアルバムを出してくれたらこれほど嬉しいことはないのだが…。
食うに困らなければ、自分のやりたいことだけに集中して籠ることができるのだ。
EMPERORはその最たる例だろう。
このバンドのシンガーであるイーサンとギタリストのサモスは仲が悪いわけではないのだが、イーサーンは職人気質というか、自分の音楽を追及して創作していく欲が強いゆえに、EMPERORのアルバムの数よりも、ソロアルバムで出したもの数のほうが多い。
EMPEROR
そして、これから先EMPERORのアルバムは出さないつもりだという。
このバンドによってブラックメタルに目覚めた私としては残念至極。
今年の3月にも来日してくれる手筈で嬉しい限りだが、アルバムリリースがないのが残念なのだ…。
またグレン.ヒューズは20代前半で世界的に有名なバンドであるDEEP PURPLEに加入することができた幸運のさなか、たった3つのアルバムを出しただけであるが、それが50年近くたった今でも入手可能ゆえに、食うに困らない。
また、このバンドのベストアルバムやコンピレーションアルバムの数は無数だ。
それも相まって今でも世界中から印税が入ってくる。 それで自身のソロでヒット作など出す必要はなく、自分のとことんやりたい音楽を追求することだけに主眼がいっているのだ。
グレン.ヒューズ
94年に出した『FROM NOW ON…』は非常にコマーシャルでヒットの気質に溢れているが、それ以降はそういうものを作るのに興味がないようで、自分のやりたいことだけを音楽的に追求しているようだ。
ゆえに、このアルバム以降、私はグレンに興味が持てなくなっている。
『FROM NOW ON…』だけは感動して聴きまくっているが…(笑)
ずっとオリジナルメンバーでは無理で、少しばかりのメンバーの脱退や加入はあれども、ほぼ同じメンバーでのバンドを30年以上継続している例は少ない。
AC/DC,AEROSMITH,JUDAS PRIEST,POISON,MOTLEY CRUE,NIGHT RANGER,ROLLING STONES,HUEY LEWISS AND THE NEWSといったバンドは、ほぼ恒久的なバンドメンバーで継続している稀有な例だ。
しかも、いくら年齢を重ねても音楽的な情熱を維持してアルバムを出し続けている。
誰もが模範としなければならないとはいって強制するつもりはないが、ファンとしては望ましい限りだ。
『BACK FOR THE ATTACK』を聴いて、いろんな思索を述べたが、この先どうなるかわからない。 今、勧めれるアルバムとして再度、このアルバムを紹介しておきたい。
●興味のある人は以下よりどうぞ!
↓
バック・フォー・ジ・アタック (ワーナー・ハード・ロック1500)
そのアルバムからのヒット曲が入ったクリップ集が以下です。
↓
Unchain the Night [DVD] [Import]
●以下のサイトでも取り扱っています。
↓
タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD
今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。