(コラム)FAIR WARNINGの衝撃デビュー30年を祝う。しかし、私のスタンスは…

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FAIR WARNINGがデビューしてから今年で早30年になる。

実に早いものだ。

そのデビュー作が、日本BURRN!の新譜コーナーで92点をつけられていたのだ。

そしてそのレビューを見ると私も気にいるだろう予感がしたので買って聴くことにした。

やはりその予感は当たった。

非常にアメリカンなテイストを持つバンドでハードロックであるというところがよかった。

日本では、海外アーティストのシングルを全部日本盤でリリースしたりはしない。

だが輸入盤屋で次々にこのアルバムからシングルがリリースされていたのだ。

しかし、ただ単に海外でリリースされたいたからといって、それを日本でもすべて輸入されるわけもない。

やはり日本でも売れると見込まれての、輸入だったのだろう。

その見込みは当たっていたというほかない。

これには私も驚いた。




どの曲も情感がこもって、思わず耳をそばだてざるを得ない魅力に満ちたメロディが満載なのだ。

80年代後半のハードロックの勢いをそのまま体現したような体裁をしていたのだ。

ミドル、スロー、スピーディ、バラードとバラエティに富んでいて、いずれの曲でも情感がこもっているのだ。

スロータイプの曲やバラードでは、キーボードとのアコースティックギターのメロディのコラボの内容がなんとも言えない雰囲気を出しているのだ。

そういう曲として紹介したいのが以下の“Long Gone”である。

●“Long Gone
  ↓




そして何よりこのバンドのシンガーである、トミー.ハートの男らしい声が私にとって一番印象に残ることだったのだ。

その時期にハードロックを好きになった私が、こういった特徴を持った音楽にのめりこまない理由はなないだろう。

正直、CDをビニールから取り出して、そしてケースから出し、そしてプレイヤーにかける、という行為は面倒なのだ。

頻繁に聴くと判断したアルバムは、カセットテープに録音して聴くようにしているのだ。

そして、このFAIR WARNINGのデビューアルバムFAIR WARNINGも録音して聴いていたのだ。

そして何度聴いたかわからない回数聴いたのだ。

これは心底、人にお勧めしたい作であることは間違いない。

この年は、有力新人としてROXY BLUEDEPRESSIVE AGE、そして最大の強豪としてニール.ショーン擁するHARDLINEがいた。

double eclipse

こういった強豪を押しのけてBURRN!の人気投票の新人部門BRIGHTEST HOPE」で見事チャンピオンになるのである。

それも、当然の結果だろうと思わせるに十分なアルバムの出来であったのだ。

私としては、HARDLINEの方が元JOURNEYのニールがいることだし有力ではないかと思ったがそうではなかった。

その思惑は外れて、HARDLINEは何と!10位で終わってしまったのだ。

新人部門でギリギリのランクインだ。

まあそれはいいだろう、こういった雑誌の投票だけがすべてではないし、あれから30年たっても、HARDLINEのデビュー作もFAIR WARNINGのデビュー作も新品で入手可能なのだから。

この実績ゆえに、デビュー作だけで来日公演も実現したのだ。

何十回も聴いたアルバムだし、私は次の94年に出されたRAINMAKERも買って聴いたのだ。



RAINMAKER


それはデビュー作に違わずいいアルバムであったのだ。 いや、演奏力やプロダクションのレベルなら上昇しているのは明白だ。

しかし、なぜかほとんど聴かずに終わってしまっていたのだ。 聴く気が起きなかったのだ。

その理由は自分でもわからずじまいだった。

その理由を探索することなく、このバンドが出したライヴアルバムやミニアルバムをいろいろ買って聴いてみた。

やはりいいとは思えるのに、なぜか聴かずじまいだった。

そんな状態が、2000年発表の『4』まで続いた。

このアルバムまで買って聴いたのだ。

ちなみにであるが、この『4』は『BURRN!』の新譜レビューの欄で、今月のPICK UP ALBUMで取り上げられて、4人の評者からいずれも90点以上を取る快挙だったのだ。

こういう実力を持つバンドは、そんなにあるものではないのは明白だ。

やはり日本の聴き手テイストにこのバンドがあっているのだろう。




こういう事実を見せつけらると、同じドイツ出身のバンドであるFRONTLINEのインタビュー内容を思い出す。

それによると、「日本ではFAIR WARNINGROKOがすごい人気らしいけど、ドイツでは彼らを知っている人なんてほとんどいないよ。皆無だね!(笑)」ということである。

これはFAIR WARNINGをけなそうという意図でしたのではない。

こういう事実があるということを明らかにしたいだけである。

日本ではかなり人気があるにもかかわらず、故国ドイツでは全く知られていない…実に興味深い事実だ。

それだけのことだ。

●“The Heat Of Emotion” FAIR WARNING』収録
 



私は同じくこの『4』を買って聴いた。

高得点を4人からいただくのもわかる、と思いながらもなぜか頻繁に聴く気が起きずに、いつしか棚の奥にしまったままになってしまったのだ。

デビュー作とは違う出来…しかし、注目すべきメロディは随所にみられる。

なのに…理由がわからなかった。 自分はもうハードロックに感動できない年齢になってしまったのか、と途方に暮れたが、その当時はまだ20代。

その答えはわからないままだった。

しかし、後になってわかることになった。

某シンガーグループのベスト盤を聴いても感動できないまま時間が過ぎ、「良い自分好みのメロディ満載なのになぜ集中できないんだ!」と思い、そのCDのライナーを開けてみてみる。

するとそのグループのメンバーは誰1人作詞作曲に関わってないのを発見したのだ。

それで分かったのだ。

「作詞をしないシンガーの曲を聴いても感動できない」ということを!

他の人はどうか知らないが、私に限ってはそうである。

それはシンガーグループであろうがバンドであろうが一緒である。

そのシンガーが作詞する能力がないゆえに作詞しないのか、能力があってもバンドのリーダーのワンマンバンドゆえにシンガーが作詞できない状態なのかはバンドによって違ってくる。

FAIR WARNINGの場合はどうか知らないが、ウィキペディアで調べるも、トミー.ハートは一切作詞も作曲もしていないことを発見したのだ。




ゆえにいつしか聴けなくなって棚の奥にしまいこみの状態が長らく続いてしまっていたのだ。

FAIR WARNINGのデビュー作はかなりの数聴いたが、それ以降はほとんど聴いていないので、30年近くたつにもかかわらず、いずれのアルバムも新品同様だ。

他人の書いた歌詞はその人の経験、知恵、感情、思い、主張が書かれているもので、それを他人が歌っても感情を込めるには限界があり、その部分的な感情を聴いてもこちらは感動できないということである。

しかし、シンガーが作詞をしないバンドのアルバムは1枚だけ聴けても、次からは聴けなくなってしまうという法則が私の中にあるようだ。

奇妙ではあるが、1枚だけ聴けても次のアルバムからは聴く気が起きなくなってしまうのだ。

そして、いつしか疎遠になってしまうということである。

THUNDERの『BACKSTREET SYMPHONY』は聴けても、次の『LAUGHING ON JUDGEMENT DAY』からは聴けなくなってしまったし、JUDAS PRIESTの『JAGULATOR』は聴けても次の『DEMOLITION』は聴けなくなってしまったし、DANGER DANGERの『DANGER DANGER』は聴けても次の『SCREW IT』は聴けなくなってしまったし、ROYAL HUNTの『MOVING TARGET』は聴けても次の『PARADOX』は聴けなくなってしまったし、DREAM THEATERの『IMAGES AND WORDS』は聴けても次の『AWAKE』からは聴けなくなってしまったのだ。

そして、FAIR WARNINGのデビュー作のFAIR WARNINGは良くても、次のRANMAKERからはほとんど聴けなくなってしまったということである。

シンガーが作詞をしなくても聴けるというマジックは1回だけ可能だが、次から聴けなくなるということである。

トミー.ハートは最近、元EUROPEのギタリストであるキー.マルセロのプロジェクトであるOUT OF THIS WORLDに参加して、その曲を『ROCK CITY』において披露していたが、聴く限り、彼のやさしさが歌に出ている観を感じた。


 
OUT OF THIS WORLD



しかし、まるでソウルが感じれないから感動できなかった。

先にFAIR WARNINGをネットのウィキペディアで調べて、トミーはそこでは一切作詞作曲をしていないのを指摘した。

このバンドはウレ.リトゲン(b)を中心とするバンドであり、彼が一切の権限を握っているために、トミーには作詞作曲に関わらせないようにしている可能性がある。

しかし、いかなる理由であろうとも、シンガーが歌詞を書かない曲は感動できないので、疎遠になってしまうし、聴きたくないのだ。

それでも、彼らのアルバムはスタジオ盤、ライヴ盤、ベスト盤、ミニアルバム含めて10枚以上は買ったのだ。

それで彼らに印税が入ったのだから、そこは感謝してほしいものだ(笑)

でも感動できないので、ヤフオクで売ることにした。




もちろん、そのOUT OF THIS WORLDでも作詞作曲していない可能性が高い。

それではいくら演奏が良くて、歌が巧くても感動できないゆえにファンにはなれないのは明白だ。

ゆえに買わないだろう。


実に偉そうだが、それが私のモラルなのだ(笑)

歌詞を書くかどうか、これでシンガーの評価の座標軸を決める、というのはかなりユニークであるかもしれないが、私はそのスタンスをやめるつもりはない。

実際に、シンガーが歌詞を書かない曲は感動できないからだ。

しかし、重複するがFAIR WARNING92年にデビューし、その年の『BURRN!』における新人部門(BRIGHTEST HOPE)でチャンピオンになったのだ。

その偉業をけなすつもりは毛頭ないし、このアルバムをかなり感動して何度も聴かせてもらったことは間違いない。

しかし、そのマジックは1回で終わった。

今後このバンドに対する私のアティチュードに変化が起きるかどうかはわからない。

とりあえず、その偉業が今でも語られているがゆえに、そのアルバムは今でも新品で入手可能なのだろう。


●興味ある人は以下よりどうぞ。
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●以下のサイトでも取り扱っています。
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タワーレコード

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今回はこれにて終了します。

ありがとうございました。

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