HR/HMファンにとって、ブート集めは堪らない楽しみだろう。
ブートは、コンサート会場にいってコンサートの模様を隠し録りした映像、あるいは海外で放映された音楽の映像をビデオやDVD-RやBlu-ray-Rに録画したものをいう。
昨今は、ひたすらDVD-RやBlu-ray-Rが主流で、VHSのパターンは皆無に近い。
こういう映像は、ファンからすればかなりほしいもので、大金を出してまで欲しくなる性格のものだ。
やはりMETALLICAのファンである私は、ブート屋に行ってこのバンドのモノを探した。
すると、このバンドの2000年のメリーランド州にておこなわれた巨大なツアーのモノが出ていた。
その名が『SUMMER SANITARIUM TOUR』といったらしい。
これは恐らく、大きな会場でなされたものゆえに、その巨大スクリーンに映しだされた映像を、そのプロダクションの業者が録画しておいたものを、どのような経緯か知らないが、日本人の誰かが入手して、それをブートレッグ屋に売ったのだろう。
それをダビングされたものが出ていたのだ。
ブートにはこういうものもあるのだ。
そのジャケットには、そのツアーに動員されたバンドの名が出ている。
何やら、SYSTEM OF A DOWN、KID ROCK、POWERMAN 5000、KOЯN、そしてMEALLICAだったようだ。
今思えば、凄い顔ぶれである。
いずれも、日本の『LOUD PARK』に出たらヘッドライナーは間違いなし、という感じだ。
事実、KOЯNは、『LOUD PARK』でトリを務めた。
KOЯN
しかし、不思議なのはPOWERMAN 5000以外のSYSTEM OF A DOWN、KID ROCKはアメリカでマルチプラチナムを連発し、SYSTEM OF A DOWNは『DOWNLOAD FESTIVAL』のメインステージでトリを務めるほどなのだ。
しかし、SYSTEM OF A DOWNが日本に来たのは2度だけ、KID ROCKは一度もないのだ。
この『SUMMER SANITARIUM TOUR』というものを知って、それに参加したKID ROCKに興味を持って私はこのバンドについて調べてみた。
するとこのバンドが、98年に出したアルバムである『DEVIL WITHOUT A CAUSE』は、全米で1100万枚を売るほどの大セールを記録したのだ。
これはすさまじい!
『DEVIL WITHOUT A CAUSE』
私の情報不足かもしれないが、このブートを知るまではこのバンドも知らなかったのだ。
それで興味を持ち、そのKID ROCKの『SUMMER SANITARIUM TOUR』での映像も買ったのだ。
その他、KOЯNのも入手することができたが、POWERMAN 5000やSYSTEM OF A DOWNのは今更入手は不可能に近いだろう。
いくらマニアが集まるブート屋でも、いつまでも全部入手可能ということはないのだ。
更に昨今では、小さくて持ち運びが容易になった機器がたくさんあるゆえに、更にブートの数も増えているから、廃盤になるブートもたくさんあるのだ。
ブートが廃盤とは奇妙な表現であるが…(笑)
“Bawitdaba” 『DEVIL WITHOUT A CAUSE』収録
このように、ブートを探索していくと、日本では行われなかった組み合わせ、しかも涎モノの組み合わせのツアーのブートが手にできるから興味が尽きないし、探索するごとにドキドキする!
これぞHR/HMの醍醐味だ。
そして、このようにまるで知らなかったアーティストを知り、そして探索し、そこでそのアーティストの意外な経歴や偉業を知ることができるのだ。
しかし凄いのはMETALLICAだ。
このバンドが一気にスターダムに乗っかるきっかけになったのは、91年の『METALLICA』アルバムだ。
『METALLICA』
これが世界で2100万枚を売ることになり、これでMETALLICAをブランドたらしめたのだ。
このアルバムには私も当然陶酔した。
その良さを友人たちと何度も語り交わした。
今でも愛聴盤だ。
そのような高揚感の中でのグッドタイミングで、91年の大晦日にMETALLICAをトリとする『FINAL COUNTDOWN』が東京ドームで行われて、それに私も友人たちと7人でいった。
その素晴らしさは今でも忘れることはできない。
この時は、METALLICAのほか、EUROPE、TESLA、THUNDERというハードロック勢だった。
EUROPEは、この時の前の来日公演では単独で日本武道館で2日間やったほどだったゆえに、バランスは良かったといえるだろう。
しかし、それから15年後の『SUMMER SONIC』でMETALLICAをトリとするギグに自分も見に行った。
その時は、STONE SOUR,AVE%NGED SEVENFOLD、ZEBRAHEAD、DEFTONESだった。
そして次にブートで接することになった『SUMMER SANITRIUM TOUR』では、SYSTEM OF A DOWN、KID ROCK、POWERMAN 5000、KOЯNだった。
この変化は何を意味するだろうか?
それまでのハードロック、ヘヴィメタルという枠を超えたさまざまなジャンルのバンドを前座に据えてのトリでの参戦である。
このような孤高の存在になるとは、80年代のハードロックファンは予想だにしていなかっただろうことは間違いない。
METALLICA
86 87年の『MONSTERS OF ROCK』にMETALLICAは参戦したがサードビルであった。
この時のトリだったBON JOVIもこのようなことは予想しなかったに違いない。
いや予想というか、そのような比較だの予想だのといったことは、アーティストは無頓着な場合がほとんどだ。
ミュージシャンは、その音楽を奏でることに生きがいを見出しているのであって、そういう比較などはまるで興味ないのだ。
BON JOVI
興味あるのは私のような人種だけであろうか?(笑)
しかし、このような人気の分析だの、歴史を俯瞰する仕事は何事にも代えがたい優雅な時間を過ごせるのだ。
そのMETALLICAの偉業を確かめるのもそうだが、KID ROCKのような意外なる偉業も発見することもできる。
まさにブート集めは、この上なく代えがたい楽しみである。
BON JOVIにしろWHITESNAKEにしろJUDAS PRIESTにしろ、公演のために日本に来たらブート屋にきて買っていくことになる、ということだ。
彼らはブート黙認派なのだ。
これはうれしいことだ。
ちょっと滅裂な文章になってしまったが、そのブートレッグでKID ROCKの偉業について語れる機会があったら書いてみたいと思う。
ここではまず、全米1100万枚を売った『DEVIL WITHOUT A CAUSE』を紹介しておきたい。
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タワーレコード
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今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。