今年のフランスで行われた『HELLFEST』のWHITESNAKEのステージでスティーヴ.ヴァイが飛び入りしたことが話題になっている。
これはまずデヴィッドのインスタに挙げられていたのが、日本にも拡散したのだ。
周知のとおりスティーヴは、32年前にはWHITESNAKEのメンバーだったし、その時も日本公演を行い素晴らしいステージを見せてくれたのだ。
それは今でも印象に残っている。
当時スティーヴは30歳。
ゆえに今は62歳だ。
実に時のたつのは早い!
スティーヴ.ヴァイ
しかしスティーヴを擁するWHITESNAKEは今も賛否の分かれる音楽性だったのだ。
スティーヴのギターが、あまりにアメリカンテイストで、あまりに速弾きが多すぎて本来のWHITESNAKEの元来のブルーズ色が台無しになった、といったようなことであった。
そういった批判をよそに、私はかなり感動したし、通算100回以上は聴いた記憶がある。
スティーヴの色がWHITESNAKEにミスマッチだったとは思わないし、自分のしたいことだけをこのバンドの音楽に盛り込んだとは思えはしなかったのだ。
しかし、前作が全米800万枚の売り上げだったのに対して、『SLIP OF THE TONGUE』はわずか100万枚しか売れなかったのだ。
『SLIP OF THE TONGUE』
実に不思議な結果だった。
そういう感慨だった故に、私は94年にバンドが再び招集されたときに、スティーヴがいなかったことに落胆したのだ。
やはり、こういった音楽性の齟齬が原因で、デヴィッドとスティーヴは疎遠だったのだろう。
しかし32年の月日を経て、ライヴステージでの再演がかなったとは…歓喜にむせんだのは言うまでもない。
しかし、最後の“Still Of The Night”に飛び入りしただけだったのだ。
その出番が来るまで、最初から“Still Of The Night”の前の曲まで、スティーヴはバックステージで聴いていたはずだ。
しかし、あのアルバムを快く思っていないデヴィッドは、あのアルバムからの曲を最近では1曲か2曲しかしないできたのだ。
今回のツアーでも、同じようなセットリストだったのは言うまでもない。
自分がレコーディングをした曲が1つも演奏されていないのを知り、スティーヴは落胆しただろう。
しかし、スティーヴが在籍していた当時のフェスティヴァルで最大のものは、やはり『MONSTERS OF ROCK』だろう。
これはイギリスはもとよりヨーロッパ5か国で行われて、いずれもWHITESNAKEがヘッドライナーを務めたのだ。
『MONSTERS OF ROCK 90』
しかも今は時めくAEROSMITHを前座にしていたのだ。
しかし、今はセカンドビルという立場でしかも、その『MONSTERS OF ROCK』よりも規模の小さいフェスである。
時の流れの無常さを感じたのは当然だ。
しかし、もっと地位の下がるパターンもあるからWHITESNAKEは健闘した方だろう。
90年の日本公演を最後にWHITESNAKEは休止期間に入った。
しかし、94年には復活し、日本にも来た。
その際に、『SLIP OF THE TONGUE』のデモテープの出来は良かったが、スティーヴがアメリカンスタイルのプレイで弾きすぎてしまい、元の曲を台無しにしてしまった。
しかも、その弾きすぎるゆえに、ライヴでもみんなが自分が目立つようにプレイしすぎになり、WHITESNAKEのブルーズの色も台無しになってしまった、ということを話していた。
それを読んだスティーヴのファンが、スティーヴにレターを書いて送ったことを、のちのスティーヴのインタビューで知ったのだ。
WHITESNAKE 94
それを読んだスティーヴは、そのような批判をデヴィッドがしたことを仕方がないこととして受け止めていたことが印象的だった。
しかし、それほど落胆していなかったのがわかった。
やはり90年に一緒にプレイしていて、自分にそういう感情をデヴィッドが抱いていたことを何となく察していたのだろう。
それが青年以上の大人というものだろう。
それ故に、『SLIP OF THE TONGUE』からの選曲がないのを見てもすんなり受け入れたことは想像できる。
しかし、私としてもそれではスティーヴが不憫すぎると思ったのだ。
そのスティーヴ抜きで94年に復活したWHITESNAKEだが、あまりにアメリカンに偏りすぎた音楽性を魅力あるブルーズを基調としたハードロックに戻そうという気概を持ったのは必然だが、しかしその時招集されたメンバーは、WHITESNAKEの魅力を最大限活かしているとはいえず、私としては全然スティーヴがいた時の方がよかったと思ったのだ。
WHITESNAKE 90
あっちがたてばこっちが立たずといった、割り切れない時期だったのが94年は。
その94年のロシアで行われたライヴCDが今年になって発売になった。
この時はデヴィッドがかつて在籍したDEEP PURPLEの超有名曲である“Smoke On The Water”が演奏されていて、その映像がブート市場でも話題になっていたのだ。
すぐにチェックして買ったので、CDはもういらないから私は買わない(笑)
WHITESNAKEの魅力を最大限出せるメンバーだったのならば話は別だが…。
こういう感慨だということのほかに、やはりスティーヴが在籍していた時期のWHITESNAKEの方が、断然感動的だったと心から思えるのだ。
だから、その思いを受けてもらいたいがゆえに、89年から90年のWHITESNAKEの『SLIP OF THE TONGUE』を聴いてもらいたいのだ。
●その『SLIP OF THE TONGUE』は以下よりどうぞ。
1枚組やDELUXE EDITION などいろんなヴァージョンがあります。
↓
●以下のサイトでも取り扱っています。
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タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD
今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。