(コラム)WHITESNAKEのベスト盤リリースを祝い、同時にSCORPIONSとの人気ギャップを考察する。

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ついにWHITESKAKEが、最後のツアー敢行を公表した。

いろんな国ではヘッドライナーを務めるようだが、アメリではSCORPIONSの前座ということであろう。

前座でも、トリでする場合の8割くらいの曲数はすることは間違いないだろう。

何故なら2バンドだけのライヴなのだから。





しかし、最後なのだからWHITESNAKEをトリにしてもいいではないか、と日本人ならば思ってしまうのだが、アメリや他の国では断然SCORPIONS の方が売れているから仕方ない。

これまでアルバム、シングル合わせてこのバンドは世界で1億枚以上を売ってきたのだ。

それは「最も売れたアーティスト」で検索をかければいい。

そのページの「1億枚以上売ったアーティスト」にSCORPIONSは入っているのだ。


scorpions.jpg
    SCORPIONS


かたやWHITESNAKEは、詳細を確認できないが、このバンドほど売れていないのは明白だ。

想像するに4000万枚から5000万枚くらいだろう。

しかし、ドイツ人、要するに英語を母国語としないアーティストが、英語で歌ったものがこれほど売ったのだからそれはかなりの偉業といっていいだろう。

2015年の最終コンサートと名したMOTLEY CRUEのツアーでも必ずしもこのバンドがフェスでヘッドライナーになれたわけではなかったのと同様だろう。

同じ日にMETALLICAKISSがいては、それらのバンドの次に準じたのだ。

SCORPIONSの人気は、80年代に基礎固めできたことで盤石になったのだということが言える。

この時期に、6作連続ゴールドマルチプラチナムを獲得したことで盤石になったのだ。

かたやWHITESNAKEは、プラチナ以上3作だけだったのだ。

しかし、87年WHITESNAKE全米800万枚を売ったことで急激に認知度を高めたのだ。

白蛇の紋章
WHITESNAKE


このアルバムで私は、それまでそれほど好きではなかったバンドが一気にフェイバリットバンドの1つになったのだ。

日本の多くのキッズも同様だろう。

このアルバム発表後の公演では15000人擁する代々木オリンピックプール4日間を敢行したのだ。

このアルバムのインパクトが非常に強くて、いつまでもファンでいたいと思えるバンドに格上げされたのだ。

しかし、このような大ヒットの経験はSCORPIONSにはない。

マルチプラチナといっても300万枚が最高だ。

しかし、プラチナ以上のアルバムは6枚と多いのだ。

やはり、1枚のアルバムだけでミリオンセールではなく、数枚のアルバムがプラチナの方が人気を維持する上で有利なようだ。

ゆえに、これまで多くこの2バンドがフェスで共演するも、いつもWHITESNAKEの方が先だったのだ。 こう言った劇はなぜ起こるのか、ということを考えるとヒット作の数だ。

あのWHITESNAKEの次に、おなじようなヒットにつながればWHITESNAKEの歴史は変わったものになりえたはずだ。

次のSLIP OF THE TONGUEは、かなり期待されたアルバムだったし、発売の前からかなり注目を浴びた作品だった。


スリップオブ
SLIP OF THE TONGUE


しかし、発売当初の勢いはすごかったが、すぐにチャートから転げ落ちてしまった。

アメリでの最高位は10位まで行ったが、それだけであった。

ここでのセールは100万枚で終わってしまった。

こんなに売れないほどよくないか?といぶかしげに思ったものだ。

確かにWHITESNAKEほどの佳曲はないが、それでも何十回も聴いてしまうほどの魅力にあふれたものだが、どうやら世間一般ではそうは受け取られていなかったようだ。

WHITESNAKEは全米で800万枚を売ったが、SLIP OF THE TONGUE100万枚しか売れなかった。

しかしアメリだけで計算するのは早計だろう。

各国では、前作に準じる売り上げだったからこそ、90年にいろんな国で開催されたMONSTERS OF ROCKトリWHITESNAKEは務めたのだろう。


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しかし、ここで起死回生の作を作ればよかったのだが、WHITESNAKEはそうはせず、4年間のブランクに入ってしまったのだ。

やはりどんなアーティストでも休止したりすると、人気を下げる原因になってしまうのだ。

それでも4年後に復活してくれたからよかったものの、96年に出したアルバムは、87年と89年のこのバンドからは想像できないほどの薄れ具合の高いアルバムであり、やはり人気を落とす原因になってしまったようだ。

そのアルバムのリミックスを施したアルバムが最近出されたが、やはり元が大衆をつかむ出来ではなかったゆえに、リミックスを施してもそれほど魅力が増すわけではなかったようだ。

白蛇バカの私でも2回聴いただけである。

なぜ、87年89年の様なアルバムを作らなかったのかという質問に対して、デヴィッドは、「前2作はアメリでうけようと意気込みすぎていたからだ」ということだ。


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デヴィッド.カヴァーデール(97)


不本意とまではいかなくても、本腰入れてしたい作品ではなかったようだ。

しかし、皮肉なことに、その2作がWHITESNAKE史上上位に来るほど売れたがゆえに、これらのアルバムからの曲ははずすことはできないことになったのだ。

97年のツアーが最後といっていたデヴィッドであったが、その言動は6年後に覆すことになった。

要するに復活である。

その97年のインタビューの時に「“Still Of The Night”もいつか終わりにしなくてはならないだろう。」といっていたのを思い出す。

しかし、この曲は絶対に外すことはできない曲なのだ。

そういった面がデヴィッドの精神に影響しているからなのかはわからない。

しかし、あの当時のヘヴィさを維持しながら、2003年後の復活後にはヘヴィさを維持したアルバムを出してくれたし、それ故にこのバンドのファンでいることを維持できているのだ。

確かに87年のあのアルバムほどの佳曲はないが、ファンを維持していけるだけの品位をバンドも維持していることは確かだ。

そうでなくなってしまったがゆえに、ファンをやめてしまったパターンは他にある。

しかし、そのようには思えない人が多くいるからこそ、SCORPIONSWHITESNAKEがギグをやれば、必ずSCORPIONS後順なのだろう。

それがいぶかしげなのだ。

確かに、このバンドはメロディメイカーだ。

しかし私から言わせれば、ヘヴィさが足りないし、メロディも断然WHITESNAKEの方が魅力的だ。

それに、SCORPIONSは高度なテクを擁するソロがほとんどないのだ。

ゆえに、このバンドは「良いバンドなんだけどねえ…」で終わってしまうのだ。 2003年におこなわれたDOKKENWHITESNAKESCORPIONSの3つで行われたギグのブートを私は持っている。


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DOKKENのは発売されなかったが、後の2者のは売られていた。

それを2つとも買って、ビデオにダビングして観るのだ。

日本でおこなわれなかったギグをビデオを見て楽しむ…これほどの愉しみはない。

WHITESNAKEの持ち時間は60分SCORPIONSのは90分

WHITESNAKE“Still Of The Night”で素晴らしいフィナーレを飾り、SCORPIONSが登場してくるが、鑑賞するテンションを維持するのが難しくなるのが自分でもわかるのだ。

しかし90年発表のCRAZY WORLDは私にとって涎モノの最高のアルバムだ!

これは何十回も聴いては鳥肌を立てて聴いた思い出がよみがえるのだ。

そして、このアルバム発表に伴う日本公演にも行って、かなり興奮してきた思い出がある。


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CRAZY WORLD


これによって、このバンドのとりこになった私は、次のアルバムも買って聴いた。

そのあまりに魅力の減退したアルバムに足元をすくわれたが、その次に期待したが結果は一緒。

その次も、そのまた次も同じような結果だった。

そしてCRAZY WORLDから後の7つのアルバムを買っては聴いた。

しかし、どれも興奮を覚えずに終わってしまった。

そしてベストアルバムを2つ買い、バラードアルバムも1つ買って聴いた。

しかし、聴いても緊張感がすぐ途絶えるのだ。

そのようなアルバムを無理やり好きになろうと思い何度も聴き返すが駄目だった。

こういったCRAZY WORLD以降のアルバムは、すべて中古盤屋ヤフオク!で売ってしまったのだ。

これは彼らの偉業を蹴落とすわけではないのだ。

私の好みに合わないのだ。

しかし、CRAZY WORLDのようなアルバムをあと2枚以上作ってくれれば、私は必ずこのバンドのライヴには足を運ぶと、公演告知がなされたら即座に思うほどのファンになったことは間違いはない。

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しかし、彼らのモラルで、同じようなアルバムは作らない、というのが信条のようだ。

そのスタンスがアメリでは受けいられたようだが、私がそっぽをむく原因になってしまったようだ。 この考えに同情してくれる人はいるだろうか?

いや日本では多いだろう。

ゆえに、他国ではアリーナでやるのが当たり前のこのバンドは、日本に来ると中級ホールクラブ規模に会場が落ちてしまうのだし、84年に行われたSUPER ROCKでは、WHITESNAKEMICHAEL SCHENKER GROUPに次いでサードビール扱いだったのだし、この順位は今でも変わらないだろう。

しかし、結構このバンドの人気は根強いのだ。





MR.BIGの12インチのレコードシングルをメルカリで出して、買い手がついて、その人に「おまけでSCORPIONSのブートを無料でつけましょうか?」と問うたところ喜んでもらってくれたのだ。

また、PRETTY MAIDSの来日公演のTシャツをヤフオク!で売りに出したところ買い手がついて、その人にも同じように「おまけでSCORPIONSのブートを無料でつけましょうか?」というメールを送ったら、「いただきたいです。SCORPIONSも大好きです。」という返答があったのだ。

また逆のパターンもあるのだ。

SCORPIONSのバラードアルバムをヤフオク!で出したところ買い手がついてその人に「WHITESNAKEのブート差し上げましょうか?」と問うたところ、「ぜひいただきたいです。WHITESNAKE大好きです!」という返答があったのであげたのだ。

しかし、WHITESNAKEにしろ、PRETTY MAIDSにしろ私が必ず公演に行くほどの好きなバンドだ。

しかし、SCORPIONSにはそういう思いは私はいだけないのが正直なところだ。

しかし、それらのバンドのファンは同じようにSCORPIONSを聴ける。

だが来日公演の日程にはギャップがある。

ということは、来日公演で高いお金を払ってでも行きたいと思えるほどのファンが少ないということだろうか?

いやそうでなければ、この現象は説明できない。

根強い人気だが、大げさなヒットにはならない、ということだろう。

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デビュー作から80年代後半までの作品は、いろんなエクスパンデッドヴァージョンが発売されても、日本では売れ続けているのだ。

誠に不可思議な現象といわざるをえないのだ。

「確かにWHITESNAKE』アルバムほどいいアルバムは出ていないけれども、それ以降はそれなりにアルバムは出ているから、公演にはいく。」というモラルでいる人がここ日本では多いのだろう。

逆に、CRAZY WORLDほどのいいアルバムはそれ以降出ていないがそれなりに良いアルバムを出しているし、それ以前のアルバムでかなり感動した。だからまた公演に行く。」というモラルでいる人が日本以外での各国では多いのだろう。

逆にそういう考えになれない人が多いからこそ、このバンドの日本での人気はそれほどではないのだ。

だから、94年以降のSCORPIONSの海外でのブートを拝見するも、いつもアリーナ公演が当たり前なのだ。

それに海外フェスではヘッドライナーが当たり前だ。

先に、SCORPIONSでの日本での人気は根強いけれども、来日公演に高い金を払っていくほどの熱烈なファンはそんなに多くはないということを書いたが、それが違う形で爆発することがある。

それはフェスという形をとるとあからさまになるのだ。

他の多くのバンドが出演するから、今回は行こうという気にさせるのだ。

それまで94年日本武道館公演を最後に、SCORPIONSはアリーナ公演を日本ではできていなかったが、2016年LOUD PARKヘッドライナーとして出演した時に、その日に出演したどのバンドよりも歓待をもって迎え入れられたのだ。

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こんなに大きな会場にいる1万人以上の観客が、これほどまでに歓待することになるとは!と驚嘆の思いになったのだ。

記憶違いではない。

そのイベントが終わった後に、この模様をすぐにブログに書き留めたのだから間違いはない。

確かに、このバンドを初めて見た人や、そんなに興味はなくてもチケットを払った手前、元を取ろうということでこのバンドのショウをみようと思い立った人も大勢いただろうことはまたがいないだろうが…。

やはり、単独公演では難しいが、昔大ヒットを飛ばしたバンドを組み合わせると、行きたいというインセンティブが必然的に働くので、ずっとそういうことをしていくべきなのだ。

これまで何度もLOUD PARKヘッドライナーを務めてきたSLAYERだが、単独公演では中野サンプラザなどが精一杯だったのだ。

しかし、1万人以上くるLOUD PARKではトリになる。

やはり、ドッキングのインセンティブは高いのだ。

ゆえに今回のSCORPIONSWHITESNAKEのドッキングに足を運ぶ人で、WHITESNAKEの魅力にあまり触れなかった人には是非ともその魅力を汲んで欲しいものだ。

しかし、ここまであまりSCORPIONSのことであまりいいことを書かなかった。

CRAZY WORLD以降のアルバムは全部売っただのということを。

しかし売らなかったものもある。

アコースティックライヴのACCOUSTICAとオーケストラとの共演のライヴ映像であるMOMENT OF GLORYである。




激しいリフやメロディを売りにしたハードロックではなく、こういった癒しのメロディを満載にしたライヴこそが、このバンドの魅力を活かす最高の手段としか思えないのだ。

そうでなければ、あのCRAZY WORLDのような出来にしなければならなかったのだ。

私はそう思っている。

このバンドのエレクトリックヴァージョンの曲をいくら聴いてもあまり感動できなかったのだ。

ゆえに、こういう結論に到達せざるを得ない。

この2つのライヴモノのライヴでは、特にバラードがいきるのだ。

その瞬間には私は感動のあまり行動がストップせざるを得ないのだ。



また、WHITESNAKE87年から10年間在籍していたエイドリアン.ヴァンデンバー(ℊ)のプレイも、WHITESNAKEの楽曲を活かしていたとはいいがたい。

WHITESNAKEのブートはこの頃のモノから所有していたが、いずれも活かしてないので途中で止めたくなっていたのだ。

ゆえに、このころのブートはほとんど鑑賞していない。

しかし、WHITESNAKE97年に出したアコースティックライヴをおこなったときのライヴDVDをみると、いつの間にか恍惚とした思いのとらわれて、エイドリアンのギタープレイに陶酔してしまうのだ。

やはり静かなる闘志を持った人なので、こういう場こそが彼の持ち味を生かす場であるということを確信した。

こういった例は、他のアーティストでも大いになる。

そのミュージシャンが、その魅力を最大限に生かすCDなりDVDなりを中心に鑑賞していくべきなのだ。

どうしても感動できないCDやDVDは売るなりして手放す方がいいと思う。

そういうスタンスゆえに、SCORPIONSのものは、アコースティックオーケストラとの共演のを最大限に聴くようにしている。

あくまでもこれは私のスタンスであって誰にでも強制するわけではない。

このバンドのエレクトリックヴァージョンモノで、自分が感動できるというのならば、それを聴くべきだろうし、感動できないのに無理してアコースティックライヴやオーケストラとの共演を聴く必要はないだろう。

自分が最高に楽しめるものを分析して、それを中心に聴いていく。

そんなスタンスをただ勧めているだけだ。
参考にしていただきたい。

今回は、これから出るWHITESNAKEベスト盤を紹介したい。

94年に出たベスト盤増量盤といった趣きのあるベスト盤である。

デラックスヴァージョンは、Blu-ray付きである。

以下収録曲になる。

ディスク 1
01. Still Of The Night
02. Hear I Go Again
03. Is This Love
04. Give Me All Your Love
05. Love Ain't No Stranger
06. Slide It In
07. Slow An' Easy
08. Guilty Of Love
09. Fool For Your Loving
10. Judgment Day
11. The Deeper The Love
12. Now You're Gone
13. Sweet Lady Luck
14. You're Gonna Break My Heart
15. Crying In The Rain
16. Forevermore

ディスク 2(デラックスヴァージョンの場合)
Blu-ray
01. Still Of The Night (Music Video)
02. Here I Go Again (Music Video)
03. Is This Love (Music Video)
04. Give Me All Your Love (Music Video)
05. Love Ain't No Stranger (Music Video)
06. Slide It In (Live in Concert, Donnington 1990)
07. Slow An' Easy (Music Video)
08. Guilty Of Love (Music Video)
09. Fool For Your Loving (Music Video)
10. Judgment Day (Fan Video)
11. The Deeper The Love (Music Video)
12. Now You're Gone (Music Video)
13. Sweet Lady Luck (Fan Video)
14. You're Gonna Break My Heart Again (Fan Video)
15. Crying In The Rain (Live in Concert, Hammersmith 2004)
16. Forevermore (Live in Concert, Japan 2013)
17. Slide It In <Unboxing Videos>
18. 1987 <Unboxing Videos>
19. Slip Of The Tongue <Unboxing Videos>
20. Restless Heart <Unboxing Videos>
21. Unzipped <Unboxing Videos>
22. The Rock Album <Unboxing Videos>
23. Love Songs <Unboxing Videos>
24. The Blues Album <Unboxing Videos>
25. DC Takes A Look Back <Interview>

以下よりどうぞ。
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●以下のサイトでも取り扱っています。
  ↓
タワーレコード

【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD

今回はこれにて終了します。

ありがとうございました。

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