今日、SCORPIONSの2019年に行われたライヴのオーディエンスショットのブートを観た。
しかし、あまり音もよくないし、録画の映像も鮮明ではないし、何より楽曲がそれほど好きになれなかったので、4曲目で止めたのだ。
このバンドの90年に出したアルバムである『CRAZY WORLD』の出来は、それはそれは良いもので、何十回聴いたかわからないほどだった。
『CRAZY WORLD』
しかし、それ以降これに匹敵するほどのいいアルバムが出なかったし、それ以前にもいいアルバムがなかったので、このバンドのファンはやめてしまっていたのだ。
その『CRAZY WORLD』に準ずる出来のアルバムが2枚か3枚出ていれば、このバンドのファンになり、来日公演が決まったら必ず行くようになっていたことは間違いない。
しかし、このバンドの特長は、アルバムごとに大幅に音楽性を変えるようで、それが私には受け入れられなかったのだ。
SCORPIONS
ゆえにそれを特長と呼ぶか、欠点と呼ぶかには、人の立場によって変わるだろう。
変化がよきものになっていたというならば特長であろうし、そう思えなかったならば欠点に他ならない。
私の場合は、それは欠点というのだろう。
そして、私はすぐさまDEF LEPPARDのDVDである『VIVA!HYSTERIA』をかけた。
これは88年の大ヒット作である『HYSTERIA』のアルバム完全再現のライヴを収めたものである。
このバンドは、SCORPIONSと同じく、それほどのギターテクを売り物にしているバンドではない。
速弾きのある曲は稀にあるが、基本は手なりのソロばかりである。
しかし、このバンドの作り出すメロディはかなりキャッチーで、しかもすぐさま脳内にそのいいメロディが張り付く感じがあるのだ。
その結果、後になってこのバンドのアルバムを聴きたい、買いたいという衝動に駆らせる魔力があるのだ。
ゆえに、このライヴは最後まで見てしまった。
私は、基本、凄テクのあるバンドに惹かれてしまうのだ。
やはりBON JOVI、WHITESNAKE、イングヴェイ.マルムスティーンといったアーティストに惹かれてしまってここまで来たのだ。
イングヴェイ.マルムスティーン
しかし、DEF LEPPARDはそういったものを売り物にしてなかったゆえに、それほどファンになれなかったし、来日公演は見逃してきた。
『HYSTERIA』は90年に買って聴いたがよかったとは正直思った。
『HYSTERIA』
私が敬愛するWHITESNAKEの音楽性と共通するものがあるがゆえに、それなりに好きなアルバムであることは間違いない。
しかし、それほどの回数を聴いて悦に浸った経験はなかったのだ。
やはり凄テク満載のWHITESNAKEのあの87年のアルバムに聴きほれてしまっていた私の趣味がゆえにである。
『WHITESNAKE 87』
『HYSTERIA』が佳曲だらけのアルバムであることは正直に思う。
しかし、速弾きがほとんどないがゆえに、聴いた数が少ないという結果になっていた。
興味深いことに、実は、SCORPIONSとDEF LEPPPARDは同じフェスで同居したことがあるのだ。
84年のドイツでの『MONSTERS OF ROCK』に参戦したのだ。
トリはSCORPIONSだ。
しかし、時は流れ、DEF LEPPARDは80年代中盤から90年代初頭にかけてヒットを飛ばしメジャーバンドの1つになった。
しかし、SCORPIONSとDEF LEPPARDは、これまでに売ってきたアルバムとシングルの世界での総計はほぼ同数なのだ。
実に1億枚である。
これには驚きは隠せない。
しかし、日本での人気のギャップは存在する。
もちろんDEF LEPPARDのほうが上だ。
これまで日本武道館で最高で3日を敢行したし、最近でもここで1日行っているが、そういうことはSCORPIONSはできる可能性は低い。
最近では中級ホールが最高だったのだから。
しかし、このフェスの出演バンドを見ると興味深い。
世界のフェスでトリを務めれるバンドが4つもあるのだから!
もとに戻って、やはりこういう人気ギャップは日本人に受け入れられるメロディを持っているかどうかにあると私は断定したいのだ。
そう感じる人は多いだろう。
これは何もSCORPONSの偉業を蹴落としているいるわけではないことはお断りしておく。
この『VIVA!HYSTERIA』を観て、感じたのは、ライヴの出来が素晴らしいのだ。
ギターやベースのピッキングやフィンガリングも正確だし、何よりもジョー.エリオットのヴォーカルもいいのだ。
アルバム通りにキーをあげて歌っているし、フェイクもない。
左右に動き回るし、客を扇動する技術も恒常的に行われる。
非常にプロ意識の高いライヴだ。
ジョー.エリオット
こういった演奏の素晴らしいことのほか、音響もプロデュースも申し分ないのだ。
スタジオアルバムでは、音のプロダクションがいいのに、ライヴではそれが叶えられない音のせいなのか、あるいはライヴスタッフの調整失敗なのかはわかりかねるが、ライヴでは全然のれなかった他のバンドでの経験が私にはある。
DANGER DANGERはアルバムではものすごくいいが、ライヴを観たら、その音響とはかなりかけ離れた出来になってしまっており全然のれなかったのだ。
またEXTREMEもセカンドアルバムである『PORNOGRAFITTI』も素晴らしい出来であったが、音響調整が全くかなっておらず全然興奮できなかったのが、あのアルバムの完全再現を収めた『METAL MELTDOWN』である。
しかし、『VIVA!HYSTERIA』は、そういう失敗がなく、あのアルバムの良さを完全に生かす音のプロダクションゆえに、また映像では目まぐるしく多角度でライヴが演奏されるので、飽きることがない。
そんな感慨に浸っているといつの間にかライヴを最後までみてしまうのだ。
『VIVA!HYSTERIA』は最初から最後まで興奮のまま終えることができるし、また見たくなる気が起きるのだ。
この『VIVA!HYSTERIA』のほかに、『HYSTERIA』の完全再現ライヴのオフィシャル映像をもう1つ出しているというから驚きだ。
それも買おうかなという気が必然的に起きている。
そこで思い出すのが、BON JOVIである。
このバンドを好きになったゆえに、私はHRに興味を持つことができたのだ。
大恩あるバンドなのだ。
しかし、そのファンになった88年の大みそかにおこなわれた『SANYO HEAT BEAT LIVE』でのライブを観て、私は失望に近いものを感じたのだ。
ジョン.ボン.ジョヴィ(vo)はキーを下げて歌うし、フェイクはかなりの回数する。
そしてリッチー.サンボラは、スタジオアルバムで見せた情熱的なソロをライヴでは大幅に変えて演奏してしまうがゆえに、興奮できずじまいだったのだ。
リッチー.サンボラ
そんなスタンスが変わっていないがゆえに、このバンドのライヴにはいかずじまいだったのだ。
オフィシャルのライヴ映像を観ても、やはりフェイクやキー下げは頻繁だし、それゆえに興奮できないままなのだ。
しかし唯一、『LIVE FROM LONDON』だけは、そういったものが少ないし完全に最後まで鑑賞できる代物なのだ。
ゆえに、これだけは保存しているのだ。
他のBON JOVIのブートの類はほとんど友人や知人にプレゼントしてきたのだ。
しかし、スタジオアルバムは素晴らしいので、80年代から90年代初頭までのアルバムは保存して、今でも鑑賞している。
しかし、ライヴにはいかないし、ライヴ映像は買わないのだ。
しかし、DEF LEPPARDのスタジオアルバムは、凄テクもないから、アルバム1枚通して聴くのが難しいからあまり聴かないが、ライヴモノは観る。
こういう自己の好みの分析は当然していかなくてはならないだろう。
それが趣味の王道なのだ。
そのほか、ルー(vo)在籍時のFOREIGNERは、スタジオアルバムは素晴らしいが、ライヴではルーがほとんど動かずにスタンドの前で歌っているだけなのが理由でのれないがゆえに、ライヴモノは観ない。
FOREIGNER
前出のSCORPIONSは、『CRAZY WORLD』はとてつもなく素晴らしいが、それ以外のアルバムは良くないので買わないし聴かない。
MICHEAL SCHENKER GROUPも『SAVE YOURSELF』は素晴らしいが、それ以外は平凡なので聴かないし買わない。
こういった自分独自のスタンスを決めておくことが、自分の趣味を最大限楽しくする秘訣だ。
難しいが、1度好きになったアーティストの出したものがすべていいとは限らないし、そういった例はかなりまれであろう。
オフィシャルで出たものの全部がいいというアーティストは少ないのは事実であるが、DEF LEPPPARDのは全部いいといえるファンは多いだろう。
しかし、ここ日本では人気の出るのに、ちょっと時間がかかったのだ、ほんの3年くらいのギャップであるが…。
あの『HYSTERIA』は全米だけで、1200万枚を売った。
そしてその前の『PYROMANIA』は全米で1000万枚をうったのだ。
『PYROMANIA』
ということは2枚連続でダイアモンドアルバムを獲得したということになる。
日本でも人気の高いBON JOVIもかなり売ったが、2枚連続のダイアモンドは獲得していない。
しかし、来日公演ではBON JOVIは95年からずっと東京ドーム公演を実現しているが、DEF LEPPARDはそれはできていない。
最高は、日本武道館で3日間なのだ。
その他の地方公演を少なくすれば、東京ドームでもできただろうが、それも1日間が最高だろう。
日本と海外では人気のギャップがあるのだ。
BON JOVIをメインにした88年の大晦日から次の年にまたいで行われた『SANYO HEAT BEAT LIVE』では東京ドームで2日間だったが、88年のDEF LEPPARDは15000人収容の代々木オリンピックプールで1日間が最高だったのだ。
DEF LEPPARDの『HYSTERIA』を評してマイケル.シェンカーは「最初から最後まで佳曲しかない」といっていたのを思い出す。
そのマイケル.シェンカーは、ロビン.マッコリーの2大柱にしてMcAULEY SCHENKER GROUPという名に変えて活動した。
その時に出したアルバム『PERFECT TIMING』を携えて、『HYSTERIA』のツアーの前座を務めたのだ。
『PERFECT TIMING』
その時の来日公演では日本武道館で2日間やったのだ。
しかし、DEF LEPPARDは同規模の代々木オリンピックプールで1日だけにも関わらず。
このように、マイケル.シェンカーの日本での人気は高い。
コージー.パウエルが在籍していた時にも、日本武道館で2日間を実現して、その時の音源がライヴモノになっている。
そして、2017年の『LOUD PARK』ではトリを務め、単独公演でも、7000人弱の東京国際フォーラムで実現している。
これまでアメリカでは、1枚のアルバムすらもゴールドも獲得できていないにもかかわらずである。
そして、この年に行われたEUROPEの来日公演は日本武道館で2日を実現した。
EUROPE
奇しくも、EUROPEは、アメリカやイギリスなどではDEF LEPPARDの前座になっていたのだ。
ともにDEF LEPPARDのアメリカやイギリスでのライヴでは前座になったバンドが、ともにDEF LEPPARDの規模を上回るキャパだったのだ、日本では。
このまま、EUROPEは、人気を維持できていればよかったのだが、そうならず、最近でのライヴは1000人キャパのクラブで2日間が最高なのだ。
最高期の、実に14分の1にまで減ってしまったのだ。
それを考えれば、人気の維持度はDEF LEPPARDのほうが断然高い。
そして、WHITESNAKEが87年に出したあの『WHITESNAKE』は全米で800万枚を売った後に、その時の来日公演は東京では代々木オリンピックプールで4日間やった。
DEF LEPPARDの当時の最新アルバムであった『HYSTERIA』は1200万枚を売ったにもかかわらず、代々木では1日だけ。
しかし、後になってDEF LEPPARDのほうが人気では完全凌駕する結果になった。
2008年のWHITESNAKEとのジョイントでは、DEF LEPPARDのほうが後だったし、最新の公演では日本武道館で単独公演をおこなっているが、WHITESNAKEはそこまでできていない。
こういった例からわかるように、敢然とした人気の基盤があるにもかかわらずDEF LEPPARDの人気が日本で出るまでには、時間がかかったということである。
しかし、BON JOVIとDEF LEPPARD、それぞれの2大売り上げアルバムの売り上げ総数はDEF LEPPARDのほうが上にもかかわらず、日本での公演のキャパはDEF LEPPARDのほうが低い。
それでもアリーナ以上でできているので、そこは不問としよう。
しかし、その2大売り上げアルバムは、DEF LEPPARDはともにデラックスエディションが出ているが、BON JOVIはどちらも出ていないのが不思議だ。
デラックスエディションは、そのアルバムの未発表曲を入れたり、収録曲のアウトテイクを入れたり、当時のライヴ音源を入れたりとバリエーションは様々だ。
そういったことを考えると、別の例が出てくる。
なぜ、日本のフェスではDEF LEPPARDは参加しないのかということである。
2011年には『LOUD PARK』ではWHITESNAKEがトリになった(のちにセカンドビルに降格)が、DEF LEPPARDは来日公演が決定していたにもかかわらず、このフェスには呼ばれず。
2016年にもWHITESNAKEが『LOUD PARK』でトリになったにもかかわらず(この時の降格はなし)、DEF LEPPARDはまたしてもこのフェスへの参加はなし。
こういう不可解なことがよくあるのがこの業界の謎なのだ。
確かに『LOUD PARK』は、その名の通りヘヴィでラウドなバンドが多く参加するフェスゆえに、DEF LEPPARDのような生粋のHRバンドは場違いと思われるが、あれだけの枚数を売ってきたバンドゆえに、ある程度のヘヴィさがあれば、そういったことは不問に付されてしまうのだ。
売れた枚数ゆえに、ダブルスタンダードが生じるのだ。
それなのに、日本でのフェスに呼ばれないとは不可思議としか言いようがないのだ。
それに、DEF LEPPARDよりもベテランのWHITESNAKEの公演のチケットがS席が10000円だったにもかかわらずDEF LEPPARDのそれは、14500円もしたのだ。
この先はもっと高くなることは間違いないだろう。
これもまた不可思議なのだ。
また不可思議なことがある。
それは『PYROMANIA』と『HYSTERIA』と連続して大ヒットを飛ばし、アメリカで2つともダイアモンドアルバムになった後に、このバンドが故国イギリスでライヴをやったときに、「DEF LEPPRADはアメリカにイギリスの魂を売った」だの「アメリカに媚を売った」といった批判がされて、ステージにはペットボトルや缶が投げつけられたのだ。
しかし、90年代初頭からのHRの不況に突入すると、「80年代のあの栄光をもう一度!」というような意見がなされるようになった。
売れると「魂を売った」と批判され、不況になると「あの当時の栄光を」などといわれる。
実に人間の言論は、わがままそのものなのだ。
DEF LEPPARDと同じイギリス出身のWHITESNAKEも87年に出したアルバムが大ヒットを飛ばし、90年には『MONSTERS OF ROCK』でトリを務めたにもかかわらず、その時はそんな批評は聞かれなかったが、それはダブルスタンダードそのものだが、DEF LEPPRADはやはり売れすぎたのだ。
『MONSTERS OF ROCK 90』
2枚連続でダイアモンドアルバムというのは。
それゆえに、そういう批判を受けやすくなるのは人類普遍の現象だろう。
BON JOVIが87年の『SLIPPERY WHEN WET』を大ヒットさせたときに、キッズの意見を載せた企画があって、そこを今読むと興味深いのだ。
「HRは限られたファン層によって支えられていたのだ。
それがBON JOVIのあのような大ヒットを出しては、そのよって立つ心境がわからなくなってしまう。」
やはり、これまでの状態から大幅な変化が生じると、それに対して意見が出てくるのは人類普遍の現象のようだ。
やはり、限られたファン層で満足してきた人には、その限られた人たちだけで楽しみたいという恋愛に似た感情が芽生えていたのだろう。
その気持ちはわかるが、そこは精神的に大人になってほしいものだ。
広く考えて、「多くの人に支えられたほうがアーティストにとってもいいだろう」という意見が出るよう。
ことはDEF LEPPARDにとっても同様だ。
媚を売ったかどうかはアーティストに直接聞かないことにはわからないだろうし、そういう部分があっても決して全部ではないだろう。
今やDEF LEPPARDは、いろんなフェスに参加するも必ずトリになっている。
フランスの『HELLFEST』しかり、イギリスの『DOWNLOAD FESTIVAL』しかりである。
それは、90年代初頭以降のHRの不況ゆえなのか、それ以降80年代のアーティスト以上のヒットを飛ばしたアーティストが一握りだったかはわかりかねるが、その両方だろう。
しかし、そんな巨大フェスで必ずトリになるのは媚を売った、魂を売ったといったことで得られる地位ではないことは確かだろう。
『DOWNLOAD FESTIVAL』
しかし80年代は贅沢な時代だったことが今になって思う。
大ヒットを飛ばしたら、「媚を売った」などといって批判の対象になるのだから。
さすが80年代だ。
80年当時は、レコードやCDといった音源が中心になって音楽業界はマーケティングをしていた。
しかし、昨今はライヴ映像やクリップ集といった映像もその主要な部分になっているのだ。
当時に比べて、映像モノのリリースのペースがかなり早い。
そんな事情ゆえに、堪能できるうれしい企画の1つが、やはり『VIVA!HYSTERIA』だろう。
CDやLPだけで聴くだけでは見つけれない魅力が映像モノによって見つけることができるのは先に書いたとおりだ。
そんな魅力を堪能できてうれしいのは、DEF LEPPARDの筋金入りのファはもちろん、そんなにファンではなかった人にもメリットの大きい作品であることは間違いない。
前者であれば、かなり嬉しい企画モノだろうし、後者の場合はこのアーティストを見直すきっかけになることは必至である。
もしかしたら確固たるファンになる可能性もあるだろう。
●そんな経験をしたい人は以下よりどうぞ!
↓
Def Leppard デフレパード / Viva Hysteria | ||||
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●以下のサイトでも取り扱っています。
↓
タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD
今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。