素晴らしいと思える音楽が、いつまでも心に残るのはどういう要件が必要か、ということを考えると、1回聴いただけで印象に残るメロディやフレーズ、そしてリフがあるということだろう。
そして、ソウルフルな歌メロが不可欠だろう。
そのソウルフルという面で、話をしていきたい。
歌詞はバンドの場合、そのバンドメンバーが書くのが普通だ。
しかし、そういう能力がない場合もあるのだ。
いくら書こうにもかけない、という場合もあるのは否定できないが、それは生まれ持っての才能があるかどうかなのでそれを批判しても仕方ないことだろうとは思う。
しかし、バンドのシンガーがそれでは困るのではないだろうか、少なくとも私はそうだ。
歌詞は自分が描いた世界観や思い、そして感情が込められていなければ、聴き手を感動させることはできない。
他人が書いた歌詞を100%の感情をこめて歌うことなど不可能なのは言うまでもない。
バンドの出したアルバムのライナーに書いてある、作詞や作曲のクレジットに、あるメンバーがノミネートされていて、あるメンバーがノミネートされていないのを見て、ノミネートされていないメンバーは、作詞や作曲ができないんだと即断するのは早計なのが、これまでの研究で明らかだ。
そのバンドがレコード契約をするにあたり、レコード会社のプロデューサーがそのバンドのカリスマの状況を判断して、それに従わせることも多々あるようだ。
例えば、Aというメンバーのカリスマ性に着目して、そのメンバーに作詞や作曲を書かせて、他のメンバーはほとんど書かせない、というようなことである。
また、レコード会社の思惑はなく、1人のリーダーがいて、その人の能力の高さに他のメンバーが圧倒されて口が出せず、仕方なくそのリーダーにほとんどを任せる、というパターンもあるだろう。
前者の例が、ROYAL HUNTであり、後者がDANGER DANGERなのではないだろうか?
DANGER DANGER
私は、DANGER DANGERの作曲能力にデビュー当初から注目していた。
ランス.クインのプロデュースの元、できた曲はかなりの完成度が高く、1回聴いただけで、アルバムを買いたいと思わせるに充分すぎるほどだった。
そう思った人は日本でも多くいたはずで、そのデビューした年の『BURRN!』の人気投票の新人部門で上位に上がった。
そして、今でも活動を続けている。
このデビュー作を買って何度も聴いたし、その良さもこのブログで書いてきた。
しかし、心奪われてこのバンドの醸し出すメロディが、脳内を何度も去来して頭から離れないというような恋愛感情に似た感情は持てなかったのが正直なところである。
それはなぜなのか、深く考えることなく時が過ぎ、ある時その答えがわかった気がしたのだ。
それはシンガーが歌詞を書いていないということが分かったことである。
このバンドは、ベーシストのブルーノ.ラベルとドラマーのスティーヴ.ウェストが中心にしてできたバンドで、ブルーノが作曲を、スティーヴが歌詞を担当して来たのだ。 他のメンバーは一切かかわっていない。
それはレコード会社が意図したものか、バンド内の暗黙の了解なのかはわからない。
しかし、歌を歌うシンガーが歌詞を書けないというのでは、そこにソウルをこめることは不可能事に近い。
それでは、聴き手に感動を及ぼすことはできないのだ。
自分の感情を歌詞に込めたわけではないゆえに。
その面が補強されていないゆえに、感動はするけれどもそれほど感動はできなかったのだとしか、思えない。
しかし、そんなことはどうでもよく、このバンドにぞっこんになっている人は大勢いるだろう。
シンガーであるテッド.ポリーが歌詞を書いていようがいまいが、そんなことは不問にしている場合がほとんどだろうとは思う。
しかし、そのスタンスが好きとは思えなくて、それほどぞっこんにはなれずにここまで来てしまったのだ。
そういう思いでいるパターンも少なからずいるのではないだろうか?
例えば、秋元康やつんく♂や小室哲哉が作詞や作曲やプロデュースを手掛けたグループのアルバムやシングルは発売直後は一気にチャートを駆け巡るが、
その後は急落、そしてのちにその売り上げの高さは語られても、その音楽や歌詞の内容の素晴らしさについて名盤として語られることはまずない。
しかし、他のバンドやアーティストが、シンガーが自分で作詞作曲を手掛けたアルバムや曲はのちになって名盤と語られることは往々にしてあるのだから。
“Higher” 『BEYOND THE FATE』収録
やはりDANGER DANGER=テッドが歌うバンド、というイメージが強いゆえに、このバンド以外で歌っているアルバムは興味の対象外、という認識でいる人がほとんどだろうとは思う。
しかし、この固定観念を壊して、一度このテッドのソロ作を聴いてもらいたい。
これらこそが、テッドの最高傑作な作品である、と私は胸を張っていえるのだ。
何せ、彼が作詞作曲のほとんどを手掛けたのだから。
ゆえに、感情をこめられているのが、聴いていてすぐにわかるはずだ。
しかし、心底感動出来て、何度も聴きたくなるアルバムはテッドの関わった作品ではソロだけというのは皮肉だろうか?
でも仕方ない部分もあるだろうとは思う。
DANGER DANGERは、ブルーノ.ラヴェルが創始者であり、彼がイニシアティブを握って当然のバンドなのだから。
ブルーノ.ラヴェル
しかし、テッドが全般的に作詞作曲に関わったアルバムのほとんどが生産中止か廃盤というのは何が何でも解せないし、そうならないように日本のHRファンには、彼の作品をどんどん聴いて、あわよくば買ってほしいというのが本音である。
私のように、シンガーこそ作詞を手掛けてほしいと望んでいる人にとっては、さらにそう思うのだ。
こういった雑誌などで語られていない内容について自分で思考して、吟味して答えを出すのは結構面白みのあることなのは言うまでもないのだ。
そういうスタンスを維持することをお勧めしたい。
今回はこれにて終了したい。
タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD
今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。
♯DANGER DANGER
♯テッド.ポリー