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ヘヴィメタルを語るには,ドイツのACCEPTを欠かせてはならないことは言うまでもない。
このバンドは79年にデビューして、今日まで生き残り、多くの足跡を残してきたし、多くの人を感動させてきた。
80年代や90年代にHM/HRを知った人ならば、このバンドを知らない人はいないだろう。
何度もその手の雑誌を見ていれば、必ず目にするバンドゆえに、必然と興味も湧くだろう。
そのような経緯を経て、このバンドの『METAL HEART』アルバムのCDが中古で格安で売っていたので、私はこれを買って聴いてみた。
聴いていてメタル魂は感じれるものの、あまりにキンキンな声に拒絶反応が起きて、それはすぐに中古盤屋に売ってしまったのだった。
その後、その声の持ち主であるウドー.ダークシュナイダーが86年に脱退し、その後89年にデヴィッド.リースなるシンガーがこのバンドに加入して、アルバムを作るが、そのままバンドは解散する。
その後、メタルファンには喜ばしい出来事として『BURRN!』において大幅に取り上げられて、93年にウドーをシンガーとして再結成がなされることになった。
ACCEPT
そして、94年と96年にアルバムを出したが、ウドーがまた脱退してしまったのだった。
初めのウドーは脱退した後、自分のバンドU.D.Oを結成した。
そして、この時の脱退後に、またU.D.Oを結成した。
しかし、面白いのは、ACCEPTで出したアルバムよりもU.D.Oで出したアルバムの方が長いのだ。
ACCEPTでは10枚のアルバムをだしたが、U.D.Oでは20枚を出し、実に倍の数出している。
ACCEPTでは、あのキンキン声が気に入らなくて忌避してきた私だが、そのU.D.Oが聴けるかどうかはわからない。
縁があったら聴いてみようとは思うが、この先はどうなるか確定かどうかわからないのが実際のところだ。
ACCEPTの偉業として挙げなくてはならないのは、アルバムが1枚だけであるが、アメリカでゴールドディスクを獲得したことだろう。
そのアルバム名は『BALL TO THE WALL』だ。
ドイツという英語を母国語としない国出身でありながら、アメリカでそのセールを挙げたのだ。
これは偉業として取り上げないわけにはいかない。
日本で絶大な人気を誇るマイケル.シェンカーにしろ、HELLOWEENにしろ同じドイツ出身であるが、これらのアーティストは1枚もアメリカでゴールドディスクを獲得したことがないのだ。
マイケル.シェンカー,HELLOWEENともに日本武道館公演を実現させているのだ。
マイケル.シェンカー
しかしACCEPTは獲得した。
これは忘れてはならないことだろう。
このバンドを見直すきっかけがあるとすれば、このアルバムを聴いてからだろうか?
だが、それが正直いつになるかはわからないのだ。
ウドーが再脱退してから、14年後にアメリカ人シンガーであるマーク.トーニロが加入して、ニューアルバムを発表した。
それが『BLOOD OF THE NATIONS』だ。
英語を母国語としているシンガーということや、そのマークも作詞に参加しているということを調べたうえで、このアルバムを発注して聴いてみることに私はしたのだ。
マーク.トーニロ
英米人であれば、英語が母国語であるがゆえに感情移入しやすいだろうし、シンガーが作詞していることで、感情移入がなされて聴き手が感動するのは間違いないと判断したがゆえに。
これまで、私はいろんなバンドを関心の赴くまま買って聴いたが、どんなに演奏や歌唱が素晴らしくとも、シンガーが作詞に参加していない場合、感動できず、いつしか疎遠になり、そのアルバムを売るということを私は多くしてきた。
シンガーが他の人間が書いた詞を歌っても、そこにはハートも感じなければ、ソウルも感じれない。
他の人の書いた詞には、書いた人の感情や主張が入っている。
それを、シンガーが完全に感情移入することなどできた話しではない。
ゆえに、シンガーが歌詞を書かないものには感動ができずにここまで来たのだ。
バンド内の事情である中心人物が作詞作曲を担当することが暗黙の了解で決まっており、シンガーが作詞を担当できないというパターンもあれば、単にシンガーに作詞能力がない、というパターンもある。 前者の例が、DANGER DANGER、ROYAL HUNT、SKID ROW、NIGHTWISH、MESHUGGAH、MOTLEY CRUEといったバンドになる。
こと後者の例はTHUNDERやFAIR WARNINGになる。
英語圏で生まれ育ったか否か、といったことはあまり、というか全然関係ないとしか私には思えない。
現に、クラウス.マイネ(SCORPIONS)、ジョーイ.テンペスト(EUROPE)、ヴィレ.ヴァロ(ex HIM)、イーサーン(EMPEROR)、ロニー.アトキンス(PRETTY MAIDS)、クリスティーナ.スカビア(LACUNA COIL)、シャロン.デン.アデル(WITHIN TEMPTATION)といった非英語圏のシンガーの歌にはかなり感動させてもらった経験がある。
非英語圏のシンガーでも、自分で歌詞を書けば自然と感情をこめれるのだ。 その感情が聴き手に感動を喚起するのだ。
ロニー.アトキンス(PRETTY MAIDS)
ただ後者の例は、1度だけマジックが生じて、1枚のアルバムだけは感動して聴けるのだ。
THUNDERのデビュー作『BACKSTREET SYMOPHONY』は感動して何十回も聴いたが、次のセカンドアルバムからは全然聴けなくなってしまった。
FAIR WARNINGのデビュー作『FAIR WARNING』も感動して何十回も聴いたが、次のセカンドアルバムからは全然聴けなくなってしまった。
ゆえに、その曲に感動できるかどうかは、シンガーが英語圏出身かどうかは関係なかったことが分かった。
シンガーが作詞をするかどうかだったのだ。
ゆえに、ウドー脱退後の加入したシンガーが英米人かどうかは私には関係なかったが、より感情移入しやすいということで、アメリカ人のシンガーが加入してよかったと思った次第なのだ。
そのアメリカ人シンガーであるマークが加入して作ったアルバムには興味がわいたのだ。
あのウドーのようなキンキン声ではないのは確かだったのだから…(笑)。
このアルバムはスピーディな“Beat The Bastards”ではじまる。
80年代に活躍したバンドよろしく、その時代の面影を感じるメロディだし、従来からのACCEPTファンには充分ウケるだろう出来だ。
思わずヘドバンをかましたくなる曲展開やソロにも好感は持てる。
ギターソロの掛け合いの妙もいい感じだ。
●“Teutonic Terror”
↓
次の“Teutonic Terror”はさらに80年代ファンの魂に火をかけるような出来だ。
じわりじわりとギターリフをかけていく妙がたまらない出来になっている。
その妙の時間に、ギターフレーズがギタリスト2人で交互にかけられるところがまたいいのだ。
先の曲と違ってミドルテンポであるが、興奮度は高くなっているのがわかる。
単なるノンベンとしたギターソロではなくメロディの使い分けの妙がいい味出しているのだ。
次の“The Abyss”のギターリフや曲を彩る雰囲気にも80年代の味が出ている。
決して古臭いということではなく、当時の音楽的な背景を彷彿とさせていながらも、現代にのアピールできる出来になっていることは間違いないのだ。
その味を更にソリッドにしたのが次のタイトルトラックの“Blood Of The Nations”になる。
ソリッドにギターリフを展開しながら、野太いコーラスを賭けた箇所には耳朶に残る味がある。
寂寥観と若干の恐怖心を煽るSEとアコースティックで始まる次の“Shades Of Death”はさすがヘヴィメタルバンドと思ってしまう。
こういう味の曲はハードロックバンドにはなかなかないからだ。
その味を活かして、どのような展開にしていくか、ということが期待されるわけだが、分厚いコーラスとのっしのっしと展開されるミドルテンポの妙が、興奮へいざなうわけで期待には応えられたことになった。
またギターソロの掛け合いも興奮させる一因になっている。
一瞬、RIOTの“Angel Eyes”かと思ってしまった次の“Locked and Loaded”は一気に滑り出して、走りぬける感じだ。
のっぺりとしたギターソロでなく、リズムを替えながら展開される工夫がこの曲は印象的だ。 ギターソロはこの曲では2回行われているが、いずれも同じ工夫が施されている。
ファンならば、このアルバム発表後のライヴでは、この曲をしてほしいとすぐさま思うだろう。
次の“Time Machine”は、寂寥観あるアコースティックギターで始まる。
こういう味こそが、HMファンにはたまらない魅力になるだろう。
こういう非日常、中でも異常で普段の生活では味わえないスリルを持っている曲こそが、HMファンが最も欲しい側面の1つであるからだ。
その寂寥観から哀愁にバトンタッチしたような観が曲全体を覆うバラードである“Kill the Pain”はHR然とした出来に驚くだろう。
しかし、そんな雰囲気の中でも激しいギターソロを展開するあたり、やはりHMバンドだなあとすぐさま思ってしまう。
敢然とそのスタイルを最後まで変えないところも、やはり…。
そんな出来からはうってかわって激しい曲になる。
“Rolling Thunder”だ。
廻っている稲妻ゆえに、この上なく激しくないと看板に偽りだろう。
ギターソロは、掛け合うのではなく、2人同時に高音域を同時に展開するから否が応でも興奮せざるを得ない。
終盤にまたギターソロが1人でかけて終わる。
この曲もアルバム発表後のライヴでは演ってほしい曲のリストにすぐさま入るだろう。
●“Rolling Thunder”
↓
そしてすぐまた、興奮をかき上げる曲が始まる。
“Pandemic”だ。
この曲は、コロナ騒動の始まる年の10年前に発表されたゆえに、コロナの事ではないのは言うまでもない(笑)。
次のDOKKEN張りのギターリフと曲展開を見せているなと思ったら、ドン.ドッケンに似せた声をマークが出しているのでお驚いた。
DOKKENを意識したのだろうか…そんな曲が“New World Comin’”だ。
DOKKENと同じ年代に活躍したACCEPTゆえに起こりうる現象だ。
DOKKEN
次はジャーマンメタルバンドが得意とするどかどかとしたスピーディな展開とギターフレーズを武器とした“No Shelter”だ。
やはりHRわけてもドイツのバンドは、こういう曲をアイデンティファイした方がいいのだろうか?
この曲の突き詰めたスピーディさとギターソロを聴いているとそんな気がしてしまうほど、この曲は印象的だ。
次の核戦争の場面を思い興すほどホラーティックで激しい“Bucket Full of Hate”こそがこのバンドの真骨頂と思わざるを得ないほどの佳曲だ。
この曲で、このアルバムは閉じる。
国内盤では、更にボーナストラックが付いている。
このアルバム発表後には、日本の『LOUD PARK 2010』の初日に参戦し、KORNをトリに、HALFORD、STORN SOURに次ぐ4thビルとして登場した。
その時のセットリストは以下。
Starlight
Living For Tonite
Breaker
Teutonic Terror
Pandemic
Restless & Wild
Princess Of The Dawn
Metal Heart
Up To The Limit
Fast As A Shark
Ball To The Wall
アルバムは、アメリカでは187位と振るわなかったが、本国ドイツでは当地での英雄ゆえに4位にまで上昇した。
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↓
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今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。
♯マーク.トニーロ
♯ACCEPT
♯BLOOD OF THE NATIONS