ノルウェーのEMPERORは、これまで2枚のアルバムで完全再現ライヴをしてきた。
デビュー作の『IN THE NIGHTSIDE ECLIPSE』とセカンドの『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』だ。
2014年には単独公演で、後者は2017年に『LOUD PARK』の参戦しての実現だった。
後者については、2019年にも単独公演でしにきたのだ。
計3回を完全再現してきたのだ。
しかも、いずれもアルバムリリースから長い年月が経ってから行われたのだから脅威だ。
それぞれ、日本だけでなく、他の国々でもおこなっていたようだ。
前者の時は、イギリスの『BLOODSTOCK OPEN AIR』で行われたようだが、後者の場合でもそこで行われていたから驚いた。
『BLOODSTOCK OPEN AIR18』
後者の場合はJUDAS PRIESTがトリだった時にやったがゆえにセカンドビルだったのは仕方なかったが、前者の場合はトリでしたから凄い。
しかし、私が敬愛するJUDAS PRIESTと同じ日にEMPERORが参戦とは…日本でこの組み合わせが起きたら、私はどの程度興奮したか想像できない。
ヘヴィさとスピードとドラマ性を突き詰めた最高のバンドの組み合わせ…。
日本でも出来なかったか…無理か、自分の思い通りに人生がいかないのは(笑)
画像採取サイトで「EMPEROR BAND」で検索するといろんな画像が取れるが、それをおこなったらまたしても興味深い画像が取れたのだ。
それが以下である。
勿論、これはブートの画像であろうが、それが売っていたのならば、自分も観たい!という衝動を抑えきれなかったがゆえに、いろんなワードで検索してみる。
するとまたしても、海外のサイトでしか販売はされていないので項垂れるほかなかった。
こういう思いになっているのは、やはり自分はこのバンドを心底好きだからに他ならない。
こういう思いに自然とさせてくれるモノのファンになるべきなのだ。
決して、今話題だからとか、人気が高いから、という理由だけで鑑賞していくべきではないのだ。
実際に自分が好きになるかどうかは、実際に鑑賞してみなくてはわからないのだ。
もしそんなに好きでないアーティストのを、そういった理由だけで聴いていくとしたらストレスになって楽しくないことは明白だ。
そんな趣味などやめてしまうのがいいだろう。
2014年の『BLOODSTOCK OPEN AIR』においては、トリになった。
しかし不思議である。
このバンドのウィキペディアを見る限り、アルバムがどの国でどれだけ売れたかといったことは書かれていないのだ。
わずかに、セカンドアルバムとサードアルバムのアメリカでの売り上げが書かれているのみである。
それぞれ、18260枚と10820枚という…実に寂しい。
そのページは以下、見たい人はどうぞ!
↓
Emperor Discography
しかし、このバンドは、いろんな国でのフェスでトリになったり、セカンドビルになったりするから興味深いのだ。
これだけしか記録にないのに、とだれもがいぶかしがるだろう。
2017年の『LOUD PARK』では、アリス.クーパーを差し置いてセカンドビル…私は信じれなかった。
しかし、観客はEMPERORを歓待していた。
しかも、単独公演も、最新のアルバムリリースから20年以上たっているにもかかわらずできているから凄い。 このバンドはフェスのプロモーターに好かれている、そんな理由だけでは難しいだろう。
やはりブラックメタルのカリスマとして喧伝されているということもあろうが、その良さが動画を通して確認できるからこそ、このバンドの良さが認識され、アルバムも世界中でじわりじわりと売れ続けてきたのだろうと思う。
ゆえに、これまで発表してきたアルバムはそれも入手可能だし、廃盤になっていないのだ。
極端な音楽を嫌う伊藤政則によって『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(下写真)は95年の『BURRN!』のレビューで78点という低得点をつけられた。
もし、今がネットの時代でなく、こういった雑誌しか音楽情報を得る手段がなかった時代のままであったとしたら、このアルバムは廃盤に追い込まれていたことは必至だろう。
しかし、ネットの時代になって、だれもが無料で動画で音楽を確認できる時代になってみれば、自分の耳と感性で確認しCDを買えるので、悪い評点を献上されても生き延びることができるのだ。
しかし、CDも苦難の時代であることは間違いない。 毎月1000円でどのアーティストもアルバム全曲取り放題という時代ゆえに、CDを売るのは難しい時代になっている。
その名や、その取り方については半アナログの私にはわからないので、興味ある人は誰かに聞いてみるのがいいだろう。
そして私は旧態依然として、CDやLPを買い続けることに汲々としているのだ、その方がお金がかかるにもかかわらず…(笑)。
そんなネットの時代ゆえに、EMPERORの正確な売り上げ枚数はわからないのだ。
売り上げが加算されたのならば、ウィキペディアに書き足せばいいではないか、という意見もあろうが、HR/HMのアーティストだけでも無数あるゆえに、ネットの管理人がそうしたことをしている時間がない、ということも考えれる。
EMPERORのアルバムは少ないながらも売れ続けている。
その枚数が、その国内で上位ランクだからトリやセカンドビルになっている、ということなのだろう。
それだけでなく、そのフェスのプロモーターに好かれている、その音楽性が気に入られているがゆえに、贔屓されているということも大いにあるだろう。
あまりに大っぴらな贔屓は観客から反感を買うだろうが、やはりフェスにおいては誰もが興奮しているがゆえに、そんな不満はかき消されて終わりなのだ。
『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』の完全再現のブートはおそらく英国のテレビで放映されたものだろうと推測する。
事実、英国のフェスなのだから。
私は『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』の完全再現ライヴをみにいって興奮したゆえ、この映像はかなり観たいものである。
しかし、日本のブート屋では扱われていないから項垂れてしまう。
日本のブートショップが、このブートを買い取って、コピーして国内で流通してくれることを願うのみだ。
●“The Acclamation Of Bonds” 『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』収録
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そしてオフィシャルで出してくれることも望むばかりだ。
不思議なことに、EMPERORは94年にデビューしながらも、4枚しかアルバムを出していない。
しかし、どれも完全再現ライヴを望みたくなるほどの佳曲揃いだ。
そして、どれが最高か判断できないほどなのだ、どれもが。
しかし、どれか1番を選べ、と言われたら『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』を選ぶだろう。
デビュー作は、低予算で作った観があるが、セカンドであるこのアルバムからは、予算があったのだろうか、プロダクションに全然不満が出ない良きできなのだ。
それも相まって、アルバム全体の更なる相対的な向上が即わかるのだ。
ブラックメタルは、ホラーでオカルトなものを題材にしているのが常だ。
その世界観を、壮大に彩るためには奥深いSEが必須だ。
そのプロダクションの向上にもぬかりなくなっている。
もともと、このバンドの演奏力や歌唱力には、全く意見がいらないほどレベルが高い。
それでいて、予算が充分にかけられれば、いうことないだろうし、ここではそういったものにスランプはない。
2枚目からいきなりスランプになり、演奏や歌唱はもちろん、作曲に陰りが見え始めるパターンも珍しくはないが、ことEMPERORには、その面が全くない。
突き詰めたヘヴィネスとスピードには、相変わらず瞠目すべきレベルに達しているし、ピンポイントでドラマティックな曲展開がなされて、心がその音楽に引き込まれてしまう。
その際のSEとギターやドラムの音の調合が抜群にいいので、思わず何度も聴きたくなってしまうのだ。
『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』完全再現ライヴ In Japan (2019年)
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ホラーな世界観を最大に引き立てるには、オーケストラの音声を盛り込むのが最適なのは言うまでもない。
ゆえに、このバンドがオーケストラとの共演を果たしてくれれば、この上ない喜びになるのは目に見えている。
シンガーが金切声をあげて、スピーディに、そしてヘヴィに音楽を展開するというだけならば、そんなに苦労することなくどのバンドでもできるだろう。
ドラマティックさがあり、それがロマンスに溢れた情景を聴き手の胸に描かせるのであれば、この上ない感動の瞬間だ。
サスペンス映画のエンディングを黄昏の夕日を見ながら感傷にふけっている気分にならせてくれる…。
このアルバムの終盤には、それが味わえるのだ。
突き詰めたヘヴィネスにスピード、そしてたぐいまれなる曲の構成力、ドラマ性…どれをとっても一級品の能力だ。
ひとえに、メンバー相互の息が合ってなくては、作曲も演奏も叶うはずはない。
メンバー、特にシンガーとギタリストであるサモスのそれがぴったりと合っているのだ。
サモス
非常なフィット感だ。
このような溶け込み具合を見せているにもかかわらず、このバンドはこの先バンドメンバーでアルバムを作るつもりはないという…実に不思議だが、それぞれのメンバーがしたいこと、自分の内からわきあがり実現させたい音楽があるが故のことだろう。
バンドのシンガーであるイーサーンは、バンドのアルバムよりも多くの7枚という枚数のソロ作をすでに出している。
実に不思議なバンドだ。
まあ公言通りにはならずに、それが覆るパターンは、他のミュージシャンでも往々にしてあるので、それを期待したいと思う。
しかし不思議だ。
このバンドは、先にも触れた通り世界大のヒットはないにも関わらず、いろんな国のフェスではセカンドビルかトリが当然だ。
そして今年の某フェスでもトリを務める…実に不思議だ(笑)
これからも、このバンドを見守っていきたいと思う。
しかし、自分のファンなバンドが、スタジオアルバムを出さないというのは腑に落ちない。
ならば、多くの人がもっとアルバムを買えば、レコード会社から圧力があってスタジオアルバムを作ろうと、EMPERORのメンバーが思い始めるかもしれない。
そのような事態になることを期待していきたい。
周りの人間にそういうことを言って回ろうではないか!
今回は、『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』を勧めて、紹介したいと思うのだ。
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“In Longing Spirit”という曲と、インストの“Opus A Satana”と“The Loss And Curse Of Reverence”のライヴが収められている国内盤は以下。
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今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。