(コラム)9月5日のWINGERの渋谷STREAM HALLでのライヴ報告!

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9月5日WINGER渋谷STREAM HALLでのライヴを観にいった。

これはこのバンドの35周年を記念するライヴという触れ込みだった。

実にそんな期間がたってしまったのかと思う。

Anniversaryゆえにオリジナルメンバーのポール.テイラーも復活した。

このバンドの最大ヒットシングルである“Miles Away”のメイン作曲者だ!

このバンドが、デビューしたのはあのBON JOVIRATTが参加した東京ドームでのSANYO HEAT BEAT LIVEがおこなわれた年にあたる。

アリス.クーパーのバンドのベーシストだったキップ.ウィンガーが率先して作ったバンドであったが、そんな枕詞だけで売れるほど世の中は甘くない(笑)

そのアルバムの出来が良かったからこそ、そのデビュー作は100万枚を売り上げたのだ。


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デビュー作『WINGER


その結果にふさわしい出来だと今も胸を張って言える。

次の
セカンドアルバムも素晴らしかった。

これも全米100万枚を売った。

しかし、その後のアルバムはゴールドにも届かない結果に終わった。

その後、バンドは休止だったのか解散だったのか、歯切れの悪い状態で、キップがソロアルバムを出したり、レブがDOKKENWHITESNAKEに入ったりと、まとまりの悪い状態だったが、2007年に復活してアルバムを出した。

よく聴けば良い面の出てくるアルバムを2枚出したが、そういう性質のものは話題に上りにくい。

結果、その2007年以降のアルバム3枚は、廃盤か生産中止になってしまっている。


しかし、デビュー作とセカンドはいまだに入手可能なのだ。


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セカンドアルバム『IN THE HEART OF THE YOUNG


30年以上前にも関わらず、いまだそうなのは、その素晴らしさが雑誌やネットで語られているからだろう。

しかし、廃盤あるいは生産中心というのは、即「内容が良くないからだ。」という結論には到達しにくい。

30年前と昨今ではアーティストの数が全然違う。

ゆえに目立ちにくいのだ。

それで、隠れてしまったがゆえに、そういう状態になってしまうのだ。

しかし、それではこういったライヴでは困る!(笑)

過去の曲もこういうライヴで演るわけだし、入手できなくては予習ができないではないか…こんな愚痴を言っても仕方ないが、しかし、いいたいのだ(笑)

事実、こういった単独公演だからこそ、そういったアルバムからもする可能性は高いし、事実この晩でのライヴはそうなった。

しかし、このバンドは、ここ日本で単独公演は93年PULL発表に伴う公演以来、実にちょうど30年ぶりなのだ。

2007年ではRATTとのドッキングで、2014年ではY & TFIREHOUSEなどと一緒だったし、2017年LOUD PARKというフェスでの参加だった。

こういったイベント参加では、フルライヴは出来ないゆえに、演奏曲も限られる。

ファンとしては歯がゆい限りだ。

しかし、この晩は単独公演なので、自分たちの好きなだけ演奏ができるのだ。

2007年以降のアルバムが3枚、廃盤、生産中止だから、これらのアルバムをヤフオク等で売ろうなどという考えには私はいかない。

やはりかなりのファンだからだ、WINGERの!


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       WINGER

好きでもないし、関心のないバンドであれば、すぐさまそういったサイトで売るだろう。

「廃盤でどのサイトでも取り扱いなしです。

ゆえに高い値段でないと入手は出来ません。」

などといったことを説明文に書いていい値を吹っ掛けさせるだろう(笑)

まあともあれ、会場に足を運んだ。

開演の30分前の18時半に会場に着いた。

会場の下の階ではグッズが販売されている。

昨今の物価高で、Tシャツ5000円だ。

今年2月のLOUD PARKでは、トリPANTERA以外、どのバンドも4500円だったのに。

今回は全部5000円

しかし、私は1枚だけと決めて買った。

大好きなアーティストだからと、買いまくっては着ずじまいで終わってしまうことが昨今は多いからだ。

HR/HMのファンになってから実に30年以上がたち、好きなアーティストが来るたびに何枚も買っていては着ずじまいで終わり、あるいは1回2回着て終わり。

それを新品価格の半額か、6割くらいの値段でヤフオクで売りに出す、ということをしていてはお金の無駄だ。

気に入りのデザインのものを1枚だけ買って、入場しようと券切りのところに並ぶ。

チケットを切ってもらい、入場。

しかし、ドリンクを1本買うのが義務付けになっている。

それが600円

これも高い。

それまでは500円だったのに。

しかも、アルコールでない、ソフトドリンクのコンビニで買えば200円以下で買えるものばかりなのに、この値段。

もっと何とかしろ!…しかしどうしようもない(笑)

会場に入るが、そんなに広くない。

クラブチッタと同じくらいだ。

ネットの情報では、ここは2000人くらい入るんじゃなかったっけ?と訝しげになった。

しかし、それはもう1つの公演のEX-THEATERの方だったと、よく調べなかったと後悔した。

この会場は700人しか入らないのだ。

しかし、この時間に入っても、クラブ公演だったら、割り込んでいけば前の方に行けるとタカをくくっていたのだが、それは間違いだった。

やはりWINGERの人気は伊達ではなかった。

前に割り込もうにもスキがないから後ろの方で我慢するしかなかったのだった。

会場には、QUEENDEF LEPPARDの過去の曲が流れている。

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これらのバンドがちかじか来日するから、そのプロモーションなのだろうか?

そんなことは、このバンドを知りたての10代のころには考えなかったが、この年になるとどうしても、そういう科学的なことを考えてしまう(笑)。

ポール.マッカートニーのも流れていたが、彼が来るとはまだ報知されていない…ならどうして?

またどうでもいいことを思索してしまう。

そんなことを考えているうちに、注意事項がアナウンスされ、ちかじかおこなわれる来日公演のプロモーションが流れて、ちょっとたつと、場内暗転。 ものすごい歓声が起きる。

このバンドを目当てにきましたとばかりに凄い歓声が起きる。

その興奮が高まった即座に、メンバーが登場すると、更に興奮する!

私も興奮する。



長髪に、サングラスに、ライダースを着て、ステージ中央に立ってベースを弾きながら歌うキップの姿には憧れる。

齢61になる爺様(笑.失礼)とは思えない輝きを放っている。

しかし、観客席には、白髪頭の男性や円形脱毛している男性が結構見れた。

しかし、30年前の来日公演の時には、この人たちは、黒い髪ぼうぼうのにいちゃんだったのだろうな…とまた余計なことを考えてしまう(笑)。



始まったのは最新アルバムSEVENからの,アップテンポの“Stick The Knife And Twist”だ。

あまり聴きこまずに来てしまったがゆえに初めは思いだせなかった。

しかし、盛り上がりを促す曲としてはいい曲だ。

ちゃんと聴きこんで来れば、もっと心から盛り上がったに違いない。

次は、Seventeenだ。

WINGERからの曲だが、スピーディな曲から立て続けに、ギターリフで畳みかけて盛り上がる様相を演出してくれればファンとしては申し分ないし、至高の気分になれるのだ。

この曲は、当時『ヤングギター』でレベル最高の最難関コピーの曲として紹介されたのだ。

特にソロが難しいのだ。

ギターキッズなる人間がこういう速弾きはこなさなくてはいけない様相だった当時と今は、だいぶ違う名と感傷に浸ってしまう。

こういう男の魂を鼓舞するギターソロがなくては、私はなかなかフェイバリットなバンドにはなれないのだ。

次はセカンドアルバムからの“Can't Get Enuff”だ。

これも、また盛り上がる。

曲自体が良いということもあるが、ファンが立て続けに佳曲を並べてくれることも、また盛りあがる要因になっている。

これはライヴ映像やライヴCDでは味わえない醍醐味だ。

やはり、この曲でもレブのソロが光る。


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  レブ.ビーチ


このバンドのギタリストが、この人でなかったら、このバンドのファンになったかどうか、かなり怪しいのだ!

次は、またも過去の名シングル“Hangry”だ。

この曲は、ミドルテンポだが、緩急ある曲展開に、やはりレブのかっこいいソロが盛り込まれているがゆえに興奮してしまう。

先のSeventeenにしろ、この“Hangry”にしろ、WINGERの曲は英語の勉強にプラスになった。

Seventeenを覚えたことによって…teenと表記される数字は、10いくつを意味することが分かったのだ。

逆に…tyは、20とか40とかを意味することを知ったのだ。

これだ間違えなかったし、英語の熟語で、Hangry ForHangry Toかを間違えなくなったのだ。

英語の勉強は、海外アーティストの曲を知っていることで勉強に生かせるのだ。

次は“Down Incognitoだ。

この曲は、サードアルバムPULLからのシングルだ。

この曲が演奏されると、赤い光りが2個ステージを徘徊する。

この曲のイメージを更に強化するにはもってこいの演出だ。

しかし、この曲の時のキップの地響きのようなベース音が、また興奮せずにはおかない!

のっしのっしと闊歩する感じで、いやがおうにもファンの心を喚起する。

この曲は、93年以来欠かさずに演奏されているWINGERには不可欠な曲だ。

こういったヘヴィなビートが聴けるのがライヴの魅力であり、HR/ HMの魅力の1つでもあるはずだ。

嵌ると抜けれなくなるのだ。


そして次は、新作からのシングル“Proud Desperado”だ。

年齢を重ねると、どうしてもヘヴィさやスピードがなくなってしまうのがロックの哀しい性と思えてしまうが、事このバンドに限ってはそういうことはないし、耳朶に残り何度も聴きたくなるフレーズも満載されているから、この曲はおすすめだ。

そしてPULLからの“Junkyard Dog”だ。

先の“Down Incognito”と同じく、ミドルテンポだが印象に残る曲だ。


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   『PULL


このPULLは、ハードロックにグランジを入れて見事融和させた名盤といった趣きで雑誌で紹介されていたが、確かにそう思える箇所はいろいろと散見できる。

全くのグランジへの鞍替えではなく、取り入れた要素の程度が最適だったのだろう。

ゆえにそういう賞賛がああったのだろう。

しかし、ハードロックに取り入れてもそれほど魅力あるものに昇華できたかどうかは人によって評価は違ってくる。

そういうことをしなくても、名盤に仕上がったデビュー作とセカンドは、そのPULLよりも魅力的だろう。

正直私はそう思えるのだ。

ヘヴィメタルグランジを取り入れたら、その魅力は昇華される。

しかし、その要素をハードロックに取り入れたら、それほど魅力的にはならないし、場合によっては魅力を削ぐ結果になるのは明白だ。

ゆえに、91年以降ヘヴィメタルバンドの方が地位的には上になってしまった。

91年当時、クラブでしかできなかったOVERKILLに対して、WINGER中級ホール数回やった。

しかもOVERKILLはゴールドにも達していなかったが、WINGERプラチナを獲得した。

しかし、LOUD PARK 17』ではOVERKILLの方が出演順は後だったのは歴史の皮肉だろうか?


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LOUD PARK 17』


まあ、あのイベント自体、ラウドなバンドを中心にしたものゆえに、こういう議論がそれほど有効ではないのは百も承知だが…。

次は、最大ヒットの“Miles Away”だけにかなりの盛り上がりを見せた。

やはりキーボードの清涼な音があってこそ、このバンドの音楽を魅力あるモノに昇華させることができると確認した瞬間だった。

こういうライヴでは、あまりにディストーションの調整をいい加減にすると、その魅力を削ぐ結果になるが、そういう抜かりはなかったようだ。

それは次の“Rainbow In The Rose”でも確認できたし、キーボードの音色がやはりこのバンドの楽曲を綺麗に彩るとわかったのだった。

そういう音の面だけでなく、曲構成でも、このアルバムの時期こそが、彼らにはその才能が開花できていたと思う。

曲の変化の妙が、この時期のこのバンドには最高に上手くいっていたようだ。

その妙の良さが、2007年以降のこのバンドには乏しいと感じるのは私だけであろうか?

それのみかギターソロも、単なる演奏ではなく、切羽詰まった感情の起伏時においてなされるがゆえに、やはり感動をもたらすのだ。

この曲の後には、レブ.ビーチのソロタイムだ。

2016年LOUD PARKWHITESNAKEトリを務めた時に、レブはそのギタリストとしてきたし、単独公演も敢行した。

その時の単独公演(静岡)でのライヴのブート映像を所有しているが、聴いていてわかったのは、その時のソロとメロディがほとんど一緒なのだ。



     WHITESNAKE 2016


唯一違うのは、ソロタイムが終焉に差し掛かったころに、ドラムやベースやキーボードも一緒に参戦して演奏を奏でるということだ。

それが終わると、PULLからのアコースティック主体のバラードである“Who's The One”だ。

キップは、アコースティック主体のソロアルバムを何枚か出しているが、そのスタンスが完全に昇華しているかどうかは微妙なところなのだ。

それなりにいいが、それほど賞賛は出来ない。

しかし,かといって嫌いでもないし、無碍には出来て話でもない。


感情的に微妙なところなのだ、あのPULL』アルバム収録の曲は。

しかし、あのPULLはいまでは廃盤になってしまっている。

そういったるアルバムからの曲を、この晩は4曲した。

単独公演ならではのあり得る事態だ。

いや廃盤というのは正確ではない。

入手は可能だが、輸入盤のレコードで入手可能だ。 あと、CDはデビュー作とセカンドと、計3つを歌詞カードトライナーなしでパッケージングして、廉価販売しているのだ。

やはり単体で販売しては売れないからこういう苦肉の策をしているのだろう。

そういうアルバムからの曲となるとファンの心理としても微妙なのだ、いくら好きなバンドの曲でも。

しかし、ダメ出しなどは一切しない!

次の“Time To Surrender”は難なく観客も受け入れていた。

この曲はキップ20代の時に書いて歌った曲ゆえに、疑問がわくのだ。

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そんな時代に書いた歌詞をすんなり歌えるのだろうか、ということだ。

Now is time to surrender…あまりにも若い人向けの歌詞だ。

60代キップが歌って格好がつくだろうか…またしょうもないことを考えてしまう(笑)。

次は、PULL収録の4曲目の曲である“Blind Revolution Mad”だ。

こういう曲でこそ、今のキップに似つかわしいと思うのだがどうだろうか?

ヘヴィだし、渋めの大人の味が出ている曲だし。

その繋ぎとしても、ファンとしても、「この曲を聴かずしてWINGERのライヴから帰れるか!」といいたくなる“Headed For A Heartbreak”が始まった。

この曲最大の魅力は、夜聴いたら最高の雰囲気の冷厳さと、夢幻回廊を抜けるような感覚にならせてくれる中盤と終盤のギターソロだろう。



夜聴いて最高のバラードをこのバンドは多く有するのだ。

バラードで、気が落ち着いたところで一気に盛り上がりを見せてくれる曲が連発する。

“Easy Come, Easy Go”“Madalain”だ。

往年のヒット曲やシングル曲がなされるとかつてない盛り上がりを見せるのは、どのバンドでも一緒だろう。

サビの部分で歌いやすいのは、両曲の共通項だ。

それで本編が終了した。

5分くらいののち、メンバーが登場してアンコールを披露した。



最初は、Deal With The Devilだ。

速めの曲ゆえに結構盛り上がる。

これは、廃盤になってしまったアルバムKARMAからの選曲だ。

グランジからの影響が抜けきらない感じを受けた曲ゆえにか、それほど話題にならなかったアルバムゆえにか、それほどの躍動は自身からは出なかった。

しかし,次の“Pull Me Under”は結構ノレた。

同じくKARMAからの選曲だが、無駄な部分をそぎ落としているし、これまでこのバンドのライヴでも披露していたし、ライヴアルバムでも演奏されていたので、お馴染み感があるし、メロディもいい曲だ。


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KARMA


しかし,往年のようなキーボードとの融合観や、メロディの起伏が少ないがゆえに、再結成後のアルバムは耳に惹く部分が少ないのは否めない。

しかし、それを払拭してくれるようないい出来だったのがBETTER DAYS COMIN'』だと思うのだが、このアルバムもほとんどどこのサイトでも入手不可になってしまっているのが残念だ。

しかし、これはアルバムの出来が良くない、ということではなく、昨今はアーティストが多すぎ、ゆえにアルバムが多すぎという事情があって目立ちずらいというのこととしか思えない。

WINGERが活躍した90年代初頭では、廃盤=出来が良くなかったから、という図式がほとんどだったが、今はその図式が成り立たなくなっているのだ。

自分で、廃盤だろうがなかろうが、良いものは良いと認識していってファンを決める時代になっているようだ。

それを毅然と敢行してきた、この日に集まって、廃盤アルバムからの曲も声を出して歌っていたファンたちに敬服の念を覚えずにはいられなかった。

そんなことを思いながら初めてきた渋谷STREAM HALLをあとにして帰宅した。



しかし、このビルディングは非常におしゃれで、イベントホールの他に、飲食のお店もバラエティに富んでいて、また行きたくなる場所だ。

一度行くことをお勧めしたい!

(WINGER 9,5 LIVE AT SHIBUYA STREM HALL set list)
“Stick The Knife And Twist”
Seventeen
“Can't Get Enuff”
“Hangry”

“Down Incognito
“Proud Desperado”
“Junkyard Dog”
“Miles Away”
“Rainbow In The Rose”
“Who's The One”
“Time To Surrender”
“Blind Revolution Mad”
“Headed For A Heartbreak”
“Easy Come, Easy Go”
“Madalain”

(encore)
Deal With The Devil
“Pull Me Under”


WINGERのアルバムは以下よりどうぞ!
  ↓

●以下のサイトでも取り扱っています。
  ↓

タワーレコード

【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD


今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。

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♯渋谷STREAM HALL
♯ 9月5日