(コラム)かつての名バラードの効用を求めて…CINDERELLAの“Don't Know What You Got”などは最高のシチュエーションを想起させていた!

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CINDERELLAは、いつしか解散宣言をすることなく、解散の道を選んでいたようだ。

しかも、いつしかギタリストのジェフ.ラバーも逝去していたようだ。


91年の来日公演で彼が見せたギター回しをもう一度ステージで見てみたかったものだ。

しかし,それはもうかなわない不可能ごとになってしまった。

あの公演がCINDERELLAにとって最後の来日公演になるとは思いもよらなかった。


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 ジェフ.ラバー(R.I.P)


なぜ、このバンドが94年のスタジオアルバムであるSTILL CLIMBINGを最後に、ベストアルバムを出すか、ツアーに出るかといった一連の行動しかしないまま、ニューアルバムを出さずに終わってしまったのだろうか?

それは、バンドリーダーであるトム.キーファーが自己愛人間ゆえに、それまでのプラチナの売り上げと同等の売り上げを達成することが94年のアルバムで出すことができなかったがために、精神的に落ち込み、引きこもり状態になってしまった、ということが一番有力な見解だと思ったものである。

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  トム.キーファー


真相はわからないが、トム2枚のソロアルバムを出して、そのままそのバンドでのツアーを敢行している。

CINDERELLAのみならず、80年代20代を送り、今はそれよりも年配になっているミュージシャンは、アルバムを出すテンポが遅くなったり、アルバムを出さなくなったりしている。

それは、80年代において世界的に周知されるほどの売り上げを達成したがゆえに、その名声が世界的に轟き、アルバムが売れたり、彼らの曲がカラオケで歌われたりしたら、印税が入ってくるがゆえに、生活に困らなくなり、アルバムリリースのテンポはゆるくなるのは必然なのだ。

今思えば、80年代は素晴らしい時代だった。

世の中は景気に沸き、のみならず音楽業界でも、いろんなアーティストがいいアルバムを出していた。 たまに、聴けない劣悪なアルバムもあったが、それは片手で数え切れるほどだった。

ハードロックアーティストも例外ではなく、佳作アルバムが無数にあった。

その中でも注目したいのはバラードだ。

夜聴くとロマンティックな気分に浸れる曲が多いのだ80年代にヒットしたバンドの楽曲群は!

勿論、昼に聴いてもいいのだが夜聴くと効果が倍増するのだ。

CINDERELLAの代表的なバラードは、セカンドアルバム収録の“Don't Know What You Got”であり、サード収録の“Heartbreak Station”だろう。


“Don’t Know What You Got”(全米12位)
  ↓
ことDOKKENの楽曲にもそういう品位があった。

声域が狭いといわれるこのバンドのシンガーだが、このバンドの最大のヒットアルバムであるBACK FOR THE ATTACK収録の“Burning Like A Flame”にもそんな効用がある。


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        DOKKEN


BON JOVIのそれは、“Never Say Good-bye”だろう。

WINGERでは、“Headed For A Heartbreak”であり“Miles Away”であり、POISONには“Every Rose Has Its Thorn”があり、WHITESNAKEにはIs This Loveがあり、KISSには“Reason To Live”GREAT WHITEには“Save Your Love”といった具合に名バラードが溢れかえっていたのだ。

バラードは夜聴いて、ロマンティックな気分になれる。

それが、いつしか最高の思い出になる。

やはり、夜音楽を聴くのは、中学生高校生大学生といった学生群であろう。

やはり勉強が義務なゆえに、勉強をするのは夜だ。



その勉強の際に、息抜きで音楽を聴き、それがロマンティックな気分にさせてくれるモノや癒しの効果をもったモノであれば、のちのち好印象を脳内にインストールすることになる。

そして恋愛に対して旺盛になるのも、この年代ゆえに、感動的なバラードを聴けば他の年代よりもロマンティックな気分になるのは必然だ。

それが何年たっても最高の思い出にしてくれるのである。

そういった効用を持った楽曲を持ったバンドが、80年代においては多くあったのだ、しかも無数に。

しかし、90年代の初頭から始まったグランジ.オルタナブームにより、そういう曲を書くバンドは極少数になってしまった。

やはり、ミュージシャンの心は時代を反映するもので、不況により心が陰鬱になった気分になってしまっては、ロマンティックな気分になったり、癒しの効果を持った曲を作るのは難しくなる。



気張って、無理やりそういう曲を作っても、やはり不自然な気負いを聴き手に感じさせてしまう結果になってしまうのだ。

ロマンティックな気分になったり、癒しの効果を持った曲を作れるミュージシャンは、昼に聴いてもロマンティックな気分にならせてくれる曲も作ることができるのだ。

バラードでなくて、スピーディな曲やミドルな曲においてもである。

勿論、人の心は浮き沈みもあることだし、そういう暗い部分があるのは必然だが、それが永遠に続いていては聴いているコチラまでもが陰鬱になってしまう。

グランジ.オルタナのブーム下においては、そういう曲を作ることが難しいのだ。

ゆえに、80年代の華やかなりし時代を最高と思っている人にとっては、グランジ.オルタナの勃興は、かなり罪作りだったといわざるを得ない。

私もそういいたい1人だ。

あのブームを作り出したのは、間違いなくMETALLICAMETALLICA』アルバムだ。

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  METALLICA

あのアルバムの特長であるヘヴィでミドルテンポながらキャッチーなメロを多く搭載したアルバムが世界2100万枚を売る結果にになり、そのアルバムを模倣して、いろんなバンドがヘヴィでミドルテンポの多い曲を作りだしていった。

しかし、その模倣したバンドの多くのアルバムは、キャッチーさが足りなかった。

その後、ヘヴィでミドルで気怠るいアルバム、これこそがグランジ.オルタナの代表的な特徴になった。

その特徴をハードロックバンドが模倣してうまくいくはずがなかった。

その結果により、80年代に活躍したいろんなハードロックバンドがアルバムを売ることができなくなってしまったのだった。

その、ヘヴィさに大衆が味をしめて、ハードロックには目もくれずに、メタルバンドの暗躍を招く結果になったのだった。

その背景によって90年代中盤からいろんなヘヴィメタルフェスが世界中で開催されることになったのだった。

日本のLOUD PARKもその結果の1つだろう。

そして、そのヘヴィメタルの元祖バンドのシンガーとしてジー.オズボーンが崇め奉られる結果になり、OZZY OSBOURNEBLACK SABBATHは、世界中のフェストリを務める結果になった。

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私は、LOUD PARK 2010』に足を運んだ。

メロディを重視したハードロックをこよなく愛した私は、このフェスでは、あまりにヘヴィでラウドなバンドばかりが参加していたがゆえに、私の食指に合ったバンドが皆無に近かったこともあって『LOUD PARK』ならぬHARD PARKを開催してほしいということを思った。

ヘヴィメタルバンドばかりでは、メロディが自分の好きでないレベルばかりゆえに、退屈な気分になってしまうのだ。

そういったバンドの曲をたくさん聴いて、良い点を見つけようとしても、あまりいい点は見つからなかったのだ。

ヘヴィメタルバンドばかりのフェスでも例外的にハードロックバンドが出演していた。

そのバンドを聴いていた方が心地よかったのが正直なところだ。

ただしハードロックバンドならだれでもいいかとなるとそうでもない。

耳を惹く良いメロディが散見されて、歌も演奏も堅実でなければ好きにはなれない。

それは今も変わっていない。

その希望に沿う趣きになったのがLOUD PARK 16』に他ならなかった。

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 『LOUD PARK 16』

このイベントには、昔の良かかりしハードロックバンドがほとんどを占めていたのは最高だった。

初日のトリSCORPIONSで、2日目のトリWHITESNAKEとくれば、80年代のファンは否が応でも喜ばずにはいられなかっただろう。

このフェスには2日とも私は足を運んだ…当然の事だろう。

もう一度、こういう趣きを有したフェスになり、それが永続していてくれれば、喜ぶことこの上なかったのだが、2017年にはまたもとのメタルバンドばかりのフェスになり(帰宅後の後味はそれなりに良かったが)、その次の年からは『LOUD PARK』は開催されず、5年ののちにまた開催されたが、ハードロックバンドの数が相対的に少なかった…なんとも、要求がわがままだが、そういった不満が自然的にでてこないことには、趣味など永続させることなどできない。

それに、そういった不満が必然的にでるからこそ、自分の好きなアーティストを好きでいられるのだ。

バラードで感動しまくっていた80年代を懐かしんで、当時のバラードやそれらが収められているアルバムを聴きまくる…こういうことを永続していくことが大事だろう。

それのみならず、その思いを外に出す。

そのことで、共感者が増えて、その者たちがアルバムやその他マテリアルを買うことで、アーティスト来日に結びつくということだってあり得るはずだ。

何もアクションを起こさないのでは、何の変化も望めないのだ。

そんな事を考えてしまったのだ。

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では、当時を懐かしんで、最高のバラードを収録していたのみならず、アルバムも佳曲だらけだったCINDERELLAのアルバムを以下紹介したい。

LONG COLD WINTERだ。

このアルバムは、BURRN!において98点を獲得し、全米でこれまで300万枚を売ることになった。

非常に天晴れだ!

そして、このアルバム発表後の来日公演日程は以下。

2月15日 東京新宿厚生年金会館ホール
2月16日 東京新宿厚生年金会館ホール
2月17日 東京新宿厚生年金会館ホール
2月19日 東京中野サンプラザホール
2月22日 京都会館第一ホール
2月23日 名古屋市公会堂


●このアルバムは以下よりどうぞ!
  ↓
Long Cold Winter

ロング・コールド・ウィンター


CINDERELLA最新の(といっても解散してしまったが…笑)ライヴアルバムが以下!
  ↓
ライヴ・アット・ザ・モヒガン・サン


●以下のサイトでも取り扱っています。
  ↓

タワーレコード

【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD


今回はこれにて終了します。

ありがとうございました。

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