(コラム)今さらながらPRETTY MAIDSの魅力を深く見る!

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最近、PRETTY MAIDSのオフィシャルライヴDVDであるIT COMES ALIVE(2012年)を観た。

これはスイスでのライヴを収めたものだが、レベルの高い演奏を聴かせてくれる素晴らしいDVDだ。

しかし、メンバーが40代後半なので、ちょっと残念。

オフィシャルとしての映像は、このバンドのキャリア初というから驚きだ。

このバンドは、20代の前半にデビューしたというのに、この年齢になって初めてのオフィシャル映像というから驚きだろう。

それまでに多くの佳曲のクリップもあったし、ライヴも素晴らしいにもかかわらず…。

しかし、彼らほどの作曲能力と演奏力をもっていながら、このクラブ規模でのライブとは…と実に残念だ。



IT COMES ALIVE


このバンドを初めて知ったのは90年のことだ。

友人がこのバンドはいいということを言っていたので、実際買って聴いたらすごくよかったのだ。

ポップで、キャッチーなキーボードとギターの被さり具合、耳朶を惹く各メンバーのメロディ、マンリーなエモーショナルなヴォイス…どれを取っても、すぐにファンにならせる品位に溢れているのだ。

アメリカンハードロックをこよなく愛する人にはたまらない魅力を備えたバンドであることに間違いはなかった。

以下が90年発表の『JUMP THE GUN』収録の“Lethal Heroesである。




このバンドの出身がデンマークであることをのちに知ったのだが、そんなことを感じさせないほどのアメリカンテイストを持ち合わせたハードロックを体現していたのだ。

楽曲の幅が広いが、中でもそのドラマティックさには瞠目すべきモノがあるだろう。

このライヴモノのドたまを飾る“Pandemonium”にしろ、“Future World”にしろ、“Yellow Rain”にしろ、壮大さ荘厳さを備えている楽曲ゆえに、アリーナ以上のキャパで演奏することによって盛り上がる曲であることは間違いない。

クラブ規模のキャパでは盛り上がらない…とは言わないがアリーナでこそ盛り上がり、その魅力を大幅に彩るのは間違いない。

クラブ規模でくすぶっている曲ではないし、バンドでもないのだPRETTY MAIDSは。



そういう思いでいるファンはもっといないのだろうか?

しかし、このバンドは世界で確たる成功を収めたバンドではないのが実情だ。

でも、80年代中盤にデビューして、今でもアルバムを出してツアーを続けていられるのだから、それなりに売れていることは間違いはないのだが…。

PRETTY MAIDSと同じデンマーク出身VOLBEATは、アルバムが全米チャートで4位を記録したトンでもないバンドではあるが、音楽性事体が私の好みではない。

そして同じくROYAL HUNTプログレッシブかつネオクラシカルな音楽性を有していて私の好みではあるが、シンガーが歌詞を書けないバンド事情なのでファンにはなれないのが実情だ。

ゆえに、私の情報の少なさゆえに、まだ知らないデンマーク出身のバンドで私が好きになりそうな例はあるかもしれない。

しかし、それで割り切って話しを進めていくが、私が今の時点でデンマーク出身で最高と思えるバンドは他ならないPRETTY MAIDSなのだ。

先に瞠目すべきこのバンドの特長として、マンリーな声といったが、それはバラードでこそ1番発揮するのだ。

90年発表のJUMP THE GUNに収録の“Savage Heart”はその最たるバラードだ。



“Savage Heart”

その男らしい声に惹かれ、そして感動し、その余韻は30年以上たった今でも引くのだ。



そんな感動した曲がベストアルバムに収録されれば、その喜びは最大になるはずだし、それゆえにそのベスト盤は買って何十回いな100回以上は聴いただろうか?

しかし、そんないい声でも自身が書いた歌詞でなければ、聴き手に感動をよぶはずはないないのだ。

やはり、このバンドはシンガーのロニー.アトキンスが書いて、歌っているのだ。

だから感動せざるを得なかったのだ。

そして、ギターには耳を惹くメロディがなければだめなのだ。 随所でそういうものは散見できるし、何よりもソロが素晴らしいのだ。

ギターキッズは、無意識のうちにギターのメロに耳がいく。

そこで、耳を惹くものがなければ、そのバンドのファンにはなれない。

このバンドのギタリストであるケン.ハマーは難なく速弾きソロを展開できるが、単なる速弾きソロではなく、メロディつくりが非常にうまいのだ。



   ケン.ハマー


これは努力して身につくわけではなく、やはり生まれ持っての才能なのだろう。

非常にグッドな才能を持ち合わせている。

ロニーケンの2人がパーナメントメンバーで、90年当時からはメンバーがいろいろ替わってしまったが、この2人だけは変わらないようだ。

それでいいのだ不動のメンバーが2人いるということはいいことだ。

そんな才能やセンスが高いにもかかわらず、日本では人気が94年以降は下がっているし、各国でもそんな大きなヒットにはなっていないのが実に不思議だ。

このバンドのアメリでのヒットはFUTURE WORLDビルボード165位にまで行ったのが最高で、次のアルバムからは一切チャートインはしていないのだ。



FUTURE WORLD


それ以降は、ようやく故国デンマークでのチャートには、PANDEMONIUMMOTHERLANDLOUDER THAN EVERがインすることになり、それぞれ14位、13位、11位と上昇を続けていった。

そのFUTURE WORLDデンマークではどうだったかというと「‐」という表記になっている。

おそらく、チャートインしていなかったか、記録をしていなかったかのどちらかだろう。

おそらく後者だとは思うが、真実は確かめようもない。

私がこのバンドを初めて知った90年が、このバンド初の来日公演だったのだ。

因みに公演日程は以下だった。

9月13日 大阪サンケイホール
9月14日 横浜新都市ホール
9月17日 新宿厚生年金会館ホール
9月18日 渋谷公会堂

S席=5000円だったのでいい時代だった。

しかしそんなこと言ってはいられない(笑) この時思ったのは、このバンドは順調に活動していれば、いつかは武道館での公演が可能なのではないか、ということであった。

次のSIN-DECADE発表にともなう92年の来日でも、同規模の公演だったが、次の94年からはクラブ規模に縮小していった。

そこからキャパをアップすることは今日まで叶わなかったのだ残念ながら…。

壮大なイメージの佳曲を多数持ち合わせているゆえに、大きなキャパでこそすべきであると書いたが、このバンドがそういうキャパでした記録はないのか、と調べたくなるが、2015年さいたまスーパーアリーナでのLOUD PARKに出演はしたが、その時は出順が早かったこともあり、7曲しか演奏できなかった。

このバンドが、世界的に名を広めるきっかけになったアルバムはFUTURE WORLDで、その発表後に参加したドイツでの『MONSTERS OF ROCK』への出演だった。


mor 87
MONSTERS OF ROCK 87』


この時はトップバッターだったようだが、参加したバンドは素晴らしい顔ぶれだ。

HELLOWEEEN、CINDERELLA、RATTMETALLICADIODEEP PURPLEだ。

このバンドの中で唯一RATTの音源がオフィシャル化されているが、他のは不明だ。

願わくば、そのRATTのは映像も出してほしいものだ。

CINDERELLAMETALLICADIOのもである。



ロニー.ディオとロニー.アトキンス(『MONSTERS OF ROCK』にて)


しかし、こと、DEEP PURPLEのだけは要らない(笑)。

いや正直、このバンドの演奏レベルは低いのは誰もがうなずくだろう。

やはりこのバンドは作曲をインプロビゼーションで作るがゆえに、メンバー1人の独走は許されない。

ゆえに緊張感を落として、ジャムっていくのだ。

ゆえにそれが癖になって、レコーディングでもライヴでも出てしまうのだ。

その結果、聴けないライヴになってしまうし、魅力のないオフィシャル映像にもなってしまうのだ。

80年代半ばの空前のHRブームによって、多くのアーティストが台頭した。

それにより必然的にプレイヤーの腕は上がっていったのだ。

ゆえに、この時期以降はうまくて当たり前の時代が到来したのだ。

その時代に活躍したバンドを聴いていれば、必然的にDEEP PURPLEの演奏は低いと誰もが気付くのは当然だが、このバンドおよびギタリストのリッチー.ブラックモアの信奉者は後を絶たないのだ。


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    リッチー.ブラックモア


これぞHRの七不思議の1つである(笑)。

この人よりPRETTY MAIDSケン.ハマーの方が断然上手いし、フレーズやリフを生み出す能力やセンスでも上と思うが、そういうことを書いてあるのを見たことがないのが不思議である。

今のご時世、単独応援が難しいゆえに、フルライブを収めることはアリーナ級のメジャーなバンドでなければ難しい。

では、どうすればいいか?

やはりキャパは小さいながらも、フルライヴでしている模様を期待するしかないのだろう。

それが、先のIT COMES ALIVEなのだ。

しかし、キャパが小さくてこのバンドの壮大なイメージを擁する楽曲を映像的に活かせていないのだ。

それが残念でならないのだ。

もしかしたら、大きなアリーナトリセカンドビルなどでできているパターンもある可能性もあるのだろうが…。



       ロニー. アトキンス


このバンドを90年に雑誌で見て、その音楽的な内容を知ったときに、将来はアリーナで…と思ったがそれは叶わなかった。

しかしいつしか、それがかなうように祈りたい。

しかし、今はシンガーのロニーアトキンスの身体が心配だ。

3年前から癌がステージ4の最悪の状態になっていた。 だが不幸な報せを聞かずに過ごせている。

やはりミュージシャンでお金があるゆえに高額な治療が受けれているのだろうか。

とにもかくにも、全治してくれることを切に願っている。

そして、また日本でライブをおこなってほしいものだ。


●以下、PRETTY MAIDSの最高傑作の1つであるJUMP THE GUNを紹介したい。
  ↓


Jump the Gun


●以下のサイトでも取り扱っています。
  ↓

タワーレコード


【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD

今回はこれにて終了します。

ありがとうございました。

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