先日2月8日に川崎クラブチッタにロニー.アトキンス(PRETTY MAIDS)のソロライヴを観に足を運んだ。
しかし、不安だったのはロニーがガンを患っていて、それがライヴによって悪化してしまうのではないかということだった。
やはり、その進行が進まないためには安静にしているのがいい、と病気にそんなに詳しくない私は、すぐそんなことを思ってしまうだが実際はどうなのだろうか?
しかし、後になってステージングをみてわかったが、その心配はなかったようだ。
ガンは進行すると、体を住処にして栄養にしていくので、どんどんやせてしまうのだ。
しかし、実際のロニーは普通の身体をしていたし、顔色も普通だし、普通の動きをしていたし、声の大きさも普通だった。
苦しそうなそぶりも一切なしだった。
やはり北欧諸国は、環境や医療や福祉の面で先進国になっている。
社会民主党が指揮を執って、経済先進国が辿ってきた負の面を是正した先端の執政をしているのだ。
日本などの経済大国の方が、豊かなんだし、それも先進的なんじゃないの、といった疑問がわきそうであるが、実際はそうではない。
官僚がそういった面でにおいて、実施することは、これまでの先例を踏襲するだけで、問題点があったら、それを是正して、良きものにかえていくということがシステム的に出来ないのだ。
それが是正されることはあるが、それを経るには長い月日がかかるようだ。
こと医療分野においてもそうだ。
ガンにかかる、すると、抗がん剤を投与するというのが一般的であるが、それではガン細胞を3割殺し、生命力を2割殺すということだ。
それでは抜本的な解決にはならないだろう。
そういう治療法ではなく、北欧の一端であるロニーの生まれた国デンマークでも違う医療法が施行せられたのだろうと思う。
ゆえに、それ以上、ガンが進行していないし回復に向かっているのだろうと思う。
ロニーは煙草吸いゆえに、そのシーンが『BURRN!』でも、またビデオクリップでも出ている。
やはりガン撲滅のためにはタバコは控える…いや絶対にやめなくてはならない!
とにかく、彼が元気だったのは良かった。
がん細胞が完全に消えるのを祈っている。
ロニー.アトキンス
しかし、今回の公演はクラブチッタにもかかわらず、座席形式になっていた。
これまではスタンディング形式だったが、どんな意図があったのかわらない。
スタンディングであれば、入場が後の方になっても、割り込んでいけば前の方で見れる。
だが、座席形式ではそれがかなわない。
しかし、私がPRETTY MAIDSを初めて知ったのは1990年の昔になる。
この年に、鷲見玲奈(フリーアナウンサー)や芸能界を干されたにもかかわらずユーチューバーや独自ブランドを立ち上げて活躍をしているローラの生まれた年になる。
鷲見玲奈
また新極真会の世界大会で2回優勝した島本雄二も同じ年に生まれたのだ。
まあ全然関係ないが…(笑)。
この年に、PRETTY MAIDSのミニアルバムを含め4枚目のアルバムである『JUMP THE GUN』が発表されたのだ。
これは、非常に傑作アルバムで、今も人に語りたくなる内容をもっている。
この年に初めて来日公演も決定し、どれも中級ホールだった。
●“Lethal Heroes” (『JUMP THE GUN』収録)
↓
(PRETTY MAIDS 90’ 来日公演日程(S席=5000円))
9月13日 大阪サンケイホール
9月14日 横浜新都市ホール
9月17日 新宿厚生年金会館ホール
9月18日 渋谷公会堂
※
JUMP THE GUN
BEST OF …BACK TO BACK
そして、次の『SIN-DECADE』も傑作だった。
●“Sin –Decade” 『SIN-DECADE』収録
↓
(92年 来日公演日程)
10月8日 東京.中野サンプラザ
10月10日 広島アステールプラザ
10月11日 大阪アルカイックホール
10月12日 名古屋瀬戸市文化センター
10月13日 川崎クラブチッタ
10月15日 東京.簡易保険ホール
※
SIN‐DECADE
ザ・ベスト・オブ...バック・トウ・バック
こういった活躍を見れば、将来いずれ日本武道館での公演も可能だろうと思っていた。
しかし、実際はそうはならなかった。
94年のアルバム『SCREAM』から不振が始まってしまい、そこからクラブ公演ばかりになってしまい、こんにちまでその規模を脱することは出来ないままになっていた。
一番最近のこのバンドでの来日公演は、あの『FUTURE WORLD』完全再現のための公演だったが、クラブチッタで2日だけ…誰が、90年や92年当時の活躍ぶりを見たら、そんなことが予想できただろうか?
そのわけを分析している時間はないので止めにするが、あのアルバムは、ワールドワイドで勝負するためのアルバムだったのだ。
『FUTURE WORLD』
どういうわけか知る由もないが、あのアルバムこそが唯一のアメリカでチャートを昇ったアルバムで、165位にまでいった。
私としてはもっと行けてもいいアルバムと思おうが、人生なかなか思い通りに行かないものだ。
この活躍によってか、87年のドイツの『MONSTERS OF ROCK』での参戦がかなった。 トップバッターとしてだ。
『MONSTERS OF ROCK 87』
しかし、トリになったDEEP PURPLEと比べて、PRETTY MAIDSの方が全然演奏力はタイトで、かなり堅実なプレイを聴かせてくれるのは明白だ。
そのことを気付いた人はいなかったのだろうか?
DEEP PURPLEはハードロック界の大御所ゆえに、それに気が付いていても表立っていうのはご法度なのだろうか?
このバンドの演奏力はかなり低い(笑)。
事実だからしょうがない。
やはりインプロビゼーションによるジャミングで曲を作ることが多いために、自分1人の独奏によっては曲は出来ない。
そのために、演奏自体がふにゃふにゃしたモノにならざるを得ないのだ。
それは、80年代の後半に、ロックを初めて体感した人にとっては、受け入れることは出来ない。
当時のロックのレベルはかなり高く、それが当たり前という認識が抜けない人間にとっては、DEEP PURPLEの演奏のレベル低さは受け入れられない。
私が敬愛するイングヴェイ.マルムスティーンが、幼少期にDEEP PURPLEやそのバンドのギタリストであったリッチー.ブラックモアを崇めていたことを知り、DEEP PURPLEやRAINBOWはハードロックファンの教養として聴かなくてはならないと思い、それらの多くの中古盤を買って聴いたが、感動をよび起すものは1つもなかった。
イングヴェイ.マルムスティーン
91年の来日公演にも足を運んだが、そこでも感動はなかった。
あのレベルの低い演奏に加えテクニカルさがまるでないのもダメだったのだ。
あのドイツ版の『MONSTERS OF ROCK』に参戦によって、DEEP PURPLEのベーシストであるロジャー.グロバーとPRETTY MAIDSは知り合い、次のアルバムである『JUMP THE GUN』のプロデューサーになってもらったようだ。
しかし、その試みはうまくいかず、そんなにアメリカでは売れなかったし、チャートものぼらなかった。
しかし、日本での人気爆発につながったのだ。
それから23年の月日を経て、今度は同じドイツでも『WACKEN OPEN AIR』において、PRETTY MAIDSは参戦することになる。
この年のこのイベントは、何日間開催され、どの日にどのバンドが参戦したのかは、このイベントのホームページにも明記されていない。
日本の『LOUD PARK』とはえらい違いだ(笑)。
この年のこのイベントにおいて、DEEP PURPLEも参戦した。
PRETTY MAIDSの日と同じかどうかもわからない。
同じだったら、26年ぶりの同じ日のドイツのフェスでの参戦ということで、奇しくもあり興味深かったが、どうなのだろうか?
このイベントは、参戦した全アーティストではないが、ドイツか同じEU内での国で、その模様が放映されたり、あるいはその模様がオフィシャル化されているから、メタルファンにとっては嬉しい事態だ。
この年の映像はDEEP PURPLEのはオフィシャル化されて『From The Setting Sun: In Wacken』という題で出ている。
しかし、残念ながらPRETTY MAIDSのモノはそうなっていない。 テレビ放映されていたのだろう、それがブートレッグ屋で売っていて、それを買って悦に入っていたのだ私は。
しかし、その模様をみるに、観客の反応はいまいちだ。
人気がそんなにないのだろう。
しかし、あんなに佳曲を量産してきて、演奏力も抜群のこのバンドが…と私は途方に暮れる(笑)。
しかし、トリになったDEEP PURPLEの時のは反応がいいのだろう。
私はそれが信じれないのだ。
あんなふにゃふにゃな演奏しかしない、しかも曲にも感動できないフレーズが多いバンドが、受け入れられて、それと対をなすPRETTY MAIDSのはそっぽを向かれるとは…という悲嘆の思いしか出ないのだ。
そんなことを考えながら、このバンドの魅力をさらに分析していた。
私が、このバンドを30年以上も感動してきたのは、やはりタイトな演奏力と、楽曲の魅力だろう。
そして、エモーショナルなシンガーがいる、ということだろう。
どんな歌が上手くても、そのシンガーが作詞をしないことには感動をよび起すことは出来ない。
他人が書いた歌詞をシンガーが歌っても、感情を込めることは出来ないがゆえに、いつしか疎遠になり、そのCDを中古盤屋やネットオークションで売ってきた私なのだ。
デンマーク出身ながら、英語で歌って世界中でアルバムを出しているバンドは、PRETTY MAIDSのほかに、ROYAL HUNTやVOLBEATがいる。
ROYAL HUNTは、リーダーのアンドレ.アンダーセンが主導を握り作詞作曲まで全て担うのがこのバンドの暗黙のルールになっておりシンガーであるDC.クーパーは作詞ができない。
ゆえに、かなり上手い歌唱を聴かせてくれるが、感動をよび起さないので、このバンドのは聴かないことにしているのだ。
そしてVOLBEATは、ロカビリーをハードロックに取り入れたミュージックと表現されるが、それを買って聴いてみたが、こういう音楽自体が私の好みではないので、ファンにはなれない。
ゆえに期待はPRETTY MAIDSに懸かっているのだ。
シンガーが歌詞を書くということが非常に大事なのだ。
元アリス.クーパーのギタリストのニタ.ストラウスや元SLAYERのケリー.キングがソロアルバムを出す予定のようだが、そういったアルバムは、ギタリストが作詞作曲までほとんどしてしまって、ゲストでよんだヴォーカリストは作詞しないでいるパターンに決まっている。
そういうアルバムは、ヴォーカリストが作詞した歌ではないから聴いていて感動できないで終わるのは目に見えている。
ゆえに買わないだろうし期待もしていない。
これまで、ロニーは『ONE SHOT』『4 MORE SHOT』『MAKE IT COUNT』そして『TRINITY』というソロアルバムを出しての今回の来日公演だった。
しかし、これまでまともに聴いたのは『TRINITY』だけだった。
『TRINITY』
勿論、彼のファンゆえに、全部のソロアルバムを買ってはいたが。
言い訳じみたことだが、やはり時間がなかったのだった。
一番、ハードロックにのめりこみ、聴くのに時間を割いた高校時代であれば、帰宅は3時くらいだったから、いくらでも来日公演の予習のために聴きこむことはできたのだが…。
今や帰宅時間は7時や9時になることもある。
ゆえに、さらっと聴いてくることしかできなかったのだ。
曲を聴きこんで知ってれば、ライヴでの感動も格段に上がることは間違いなかったが。
私はHR/HMが大好きゆえに、昔ファンだったにも関わらず、ファンを辞めてしまった人に憤りを感じてきたのだ。
そういう人にとってみれば勝手に怒ってろ、ということだろうが(笑)。
そんなアティチュードの癖に、今回にために予習を怠るとは…人のこと言えないじゃないか、と言われても仕方ない。
それゆえに、演奏されたソロアルバムからの曲はまるで分らなかったのだ。
今回のライヴは、PRETTY MAIDSの曲もされることは、告知されていた。
どんな曲がされるのか楽しみしていたが最初にされたのは『FUTURE WORLD』収録の“Rodeo”だった。
この曲は、このバンドの最高傑作とバンド自身も思っているのだろうゆえに、『FUTURE WORLD』からの曲は、一番最近の最新アルバムを引っ提げての来日公演でも、一番多く演奏されるのだから、この曲は極めて自然な成り行きだろう。
そして次に演奏されたのは“Say The Word”だった。
しかし、この曲が来るとは思わなかった。
これはアコースティック.アルバムである『STRIPPED』からの曲だ。
『STRIPPED』
これはアコースティックブームが91年にいきなり訪れて、誰もがアコースティックソングでシングルをだしてヒットしたり、アコースティックライヴをしたりしていたのだ。
そのブームに乗るつもりだったのだろうか、PRETTY MAIDSもそういうアコースティックのアルバムを出した。
そして、92年には、この『STRIPPED』を出し、そして来日公演ではライヴの中間においてアコースティックライヴを数曲演奏したのだ。
しかし、このアルバムは、今は廃盤になってしまっている。
余りにおとなしい印象を与えるモノは注目されず、よしんば注目されてもすぐに忘れられてしまう性質のものなのだ。
しかし、この曲を持ってくるとは…。
そしてまた次の曲は、『RED,HOT AND HEAVY』収録の“A Place In The Night”だ。
あまりに曲名がオーソドックス過ぎなのには笑えてくるが、これも最近のPRETTY MAIDSでは20年以上演奏されていなかった曲だ。
やはり、バンドの選曲はメンバー全員の合意の上で成り立つので、やはりロニーがこれをやりたいといっても、却下され続けたのだろう。
そしてソロライヴにおいて、鬱憤を晴らすかのように、ソロライヴでこの曲を演ったのだろう。
“Say The Word”と“A Place In The Night”はいい曲ではあるが…微妙な評価の曲だ。
PRETTY MAIDSの魅力は、高い演奏力のほかに、いつまでも耳朶を離れないメロディを多数量産してきたことだ。
伴奏でもギターソロでも両方において存在しているのだ。
そして、いくつもドラマティックな曲を作ってきたのだ。
『JUMP THE GUN』収録の“Lethal Hero”のイントロからの展開は涙ものだし、『SIN-DECADE』収録の“Sin-decade”も、あまりに静逸な雰囲気を持ったドラマ性に感動するし、“Pandemonium”もSFの映画に放り込まれたかの錯覚をおこしかねない臨場感に押し流されそうになるのだ。
こういうドラマティックな曲を、PRETTY MAIDSは量産してきた。
そういうドラマティックな曲にとことん私は弱い。
日本のCCBというポップバンドに“ロマンティックが止まらない”という曲があったが、PRETTY MAIDSにおいては“ドラマティックが止まらない"の観を呈している(笑)。
そういうドラマティックな曲として、ソロの『TRINITY』には、爽快で、壮麗なキーボード音が印象的で、聴いていると心澄みやかになり、それに調和したヘヴィさをもったギター音で展開するインストの“Via Dolorosa”から次の“Godless”につながる構成があるが、その思わずヘドバンをかましたくなるヘヴィさとドラマティックさは、奥ゆかしいドラマ性を秘めた作りも、以前よりレベルアップしているのだ。
こういう作曲能力は年を経るごとに低下していき、以前に作った曲が演奏された方がウケがいいということはベテランバンドにはよくあるが、ことロニーやPRETTY MAIDSにおいてはないのだ。
その“Via Dolorosa”から次の“Godless”は今回のライヴでもなされたゆえに嬉しさひとしおだったのだ。 そんなことを思っていると、メインのセットが終わり、メンバー全員がひとまずステージをあとにした。
そして、戻ってきて始めたのは、ドラマティック最前線の"Future World"が始まる。
こういう曲でこそ、このバンドのライヴは映えるのだ。
こんないい曲、しかもスピーディさもヘヴィさも申し分ない曲ゆえに、必然的にヘドバンをかましてしまう。
●“Future World”
↓
※
Future World
Best of
こういう素晴らしい曲をもっと多くのHRファンに聴いてほしいのだ、DEEP PURPLEのしなびた曲はもういいだろう、と思ってしまう。
ファンに失礼か…(苦笑)
しかし、この業界を垣間見るに、あまりにヨーロピアンテイストな曲ばかりでは忌避されてしまうことは間違いないと思ったのだ。
別に悪い曲ではないが好き嫌いが極端に分かれてしまうからだ。
KAMELOTもそんな危惧を有しているといった方がいいだろう。
KAMELOT
できた曲の殆どはヨーロピアンテイストが強すぎるゆえに、好き嫌いが分かれてしまうのだ。
ここ日本でもそうだ。
このバンドもかなり演奏力が高く、作曲能力も高い、いや高すぎるほどだ。
そんなバンドにもかかわらず、日本で演るときはいつもクラブばかりだ。
しかもキャパの低いクラブだ。
このバンドにぞっこんになった人にとっては信じれないだろうし、残念至極だろうが。
そんなヨーロピアンタイストが強いPRETTY MAIDSの曲として代表的な曲は“A Little Drops Of Heaven”だ。
イントロから醸し出される雰囲気や色はあまりにヨーロピアンテイストが強すぎるがゆえに、そういった曲が多いと忌避されてしまう。
しかし、ことPRETTY MAIDSは、そういう曲の占める割合はちょうどいい感じがするのは私だけだろうか?
いやそんなことはないだろう。
そんなことを考えてしまった“A Little Drops Of Heaven”が最後に演奏されて、今回のライヴは終わった。
いつもは、演奏された曲のリストを全部書くのだが、予習不足でそれができなかった。
次のライヴでは、予習をきっちりしたうえで、しかもロニーのガンが完全消滅して、それからのライヴになるであろうことを期待して私はクラブチッタをあとにした。
タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD
今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。
♯ロニー.アトキンス
♯ソロライヴ
♯PRETTY MAIDS
♯クラブチッタ