世代ギャップを超えて人さまにお勧めできるHIS STATUE FALLSの『MISTAKEN FOR TROPHIES』はこれだ!

HMV&BOOKS online







テクノとトランスを全面に押し出した、と形容されるこのバンドHIS STATUE FALLSは、2010年にデビューを飾った。

テクノとトランス…こういう形容は80年代のHRをこよなく愛した人には食傷気味に映るだろうが、私は聴いた結果がよかった、あるいは受けいれられたならば、それでいいと思うのだ。

以下のグループショットをみても、その好みのギャップを感じざるを得ないし、忌避したくなる感情は理解できなくはないが、あくまでも楽曲をメインに趣向すべきなのだ(笑)


  HIS STATUE FALLS


しかし、こういう音楽は、感情をも全面に押し出し、しかもスピーディな曲を擁する場合が多いゆえに、英語で歌うならば、それを母国語とする国の人でなければ歌いこなすのはかなり難しいのではないか、と思われる。

しかし、このバンドはドイツ人バンドというから驚きだ。

英語を母国語としないにもかかわらず、いろんな曲を非常に巧みに歌いこなしている。

しかも感情も乗っている。


フランスブラックメタルバンドのBENIGHTEDにしろ、スピーディに英語を非常に巧く感情的に歌いこなしている。

そのうまさゆえに、また買って聴きたくなるから、そういった買うCDのリストが増えていくのだ。

最近は、こういう非英語圏からのバンドが無数に出てくるから驚きだ。

このHIS STATUE FALLSは、まずYouTubeで知ることとなった。




その1曲を聴いただけで、このバンドのアルバムを買い、そして聴きたくなったのだ。

このようにネットを、映像を中心に周遊してから入ることで捨ての確立は非常に低くなるから、驚きだし嬉しいことだ。

雑誌が主な情報源だった時代では捨てが多かったことは間違いない。

正統なハードロックを聴いてその手の音楽にのめりこんだ人には、受け入れがたい雰囲気があるのは否めないが、まずは1曲で良いから聴いてみるのがいいだろう。

それでもよくなかったのならば、聴かなくていいだけのことだ。




テクノにトランス、その手法はLINKIN PARK、PERIPHERYそしてLIKE A STORMなどがいい例だが、私はLIKE A STORMが好きになり、そして私は来日公演にも行ってきたが、その音楽が好きな人であるならば、このHIS STATUE FALLSも気に入るだろう。

テクノというとポップな高音のシンセやキーボードの音色を思い浮かべてしまうが、その要素はあまりないし、希薄だ。

むしろ、トランスの要素を取り入れて、それをインダストリアルな音楽に融合させて仕上げた感じだ。

その音楽は、非常にバランスの取れたいい案配に仕上がっている。

ヘヴィさも申し分ないのだ。

そしてスクリーム&クリーンパートの絡み合いが、職人技といっていいほどのレベルに達しているのは間違いないのだ。

全体的に都会を舞台にしたアクロバティックな映画のサントラや、バックミュージックの両方でも使えるような品位を感じざるを得ないのだ。

afuromi.jpg


緊張感が最大限に高まったドラマ性を内包した3曲目の“Here After”をかけていたときに、それまでの行為を止めてききいってしまったほどである。

キーボードや、シンセ、コーラスの巧みな使いまわしや融合された音の素晴らしさには感服せざるを得ないのだ。

LINKIN PARKはかなり売れたバンドだが、その手の音楽をこよなく愛するファンにはうってつけだし、私はそれ以上にこのバンドのほうが好きだ。

奇をてらったものではなく正直な感想だ。



こういった従来のメタルの枠にとらわれないで、いいモノはいいと敢然といえる柔軟な精神の持ち主には聴いてもらいたい作品だ。

そういったことは言わなくても、聴くだけですぐに聴き耳を立ててしまうほどだ。

嗚咽するようなヴォイスは、一聴すると賛否の分かれるような思いを抱くかもしれないが、キーボードの清涼な音色が中和して佳曲に仕上げる結果になるのだ。

しかも曲の中途でスピーディに様変わりするのだ。

そんな名曲の1つが5曲目の“Missing Piece Of No One”だ。

そしてLIKE A STORMの手法を取り入れたのが“Increase Decrease”だ。


 LIKE A STORM

アクロバティックなスペース空間に放り込まれたような錯覚にとらわれるのだ。

その空間の気宇が、心のひだを削ぎ落してくれるような感じだ。




アルバム通して一本調子ではなく、曲が変化に富んで、しかもヘヴィさも申し分なく、雪崩れるようにキャッチーなメロディが矢継ぎ早に進んでいくのだ。

これでは文句のつけようがない佳曲揃いのアルバムであることは間違いない。

バラードのようなゆったりとした曲はないが、アルバム通して変化に富んでいるし、スピーディな曲が多いので一気にアルバムを聴き終わってしまうので、それは目を全然つぶっていられる事項だ。

これは80年代の音楽をこよなく愛した私ですらも、これだけ音楽のギャップがあっても人さまに心底勧めれるアルバムである。

このアルバム発表後、2012年に来日公演が実現した。

日程は以下である。

7月6日 心斎橋SOMA
7月7日  名古屋3 STAR IMAIKE
7月8日 東京吉祥寺CLUB SEATA 




●このバンドのこのアルバムに興味が出た人は以下からどうぞ!
  ↓

●以下のサイトでも取り扱っています。
  ↓

タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD


今回はこれにて終了します。

ありがとうございました。

HMV&BOOKS online