NIGHT RANGER
EUROPE
NIGHT RANGERとEUROPE…この2者は、音楽性は異なるが共通点があるのだ。
共通するのは、同じハードロックバンドということくらいだろうか。
ともに、80年代初頭にデビューし、デビュー作は飛ばなかったが、NIGHT RANGERはセカンドアルバムを全米で100万枚を売り、プラチナを獲得したが、EUROPEはなし。
NIGHT RANGERはサードアルバムでもプラチナを獲得し、EUROPEはワールドワイドでの成功をつかんだ。
シングルになった“The Final Countdown”が世界15か国でナンバーワンを獲得し、結果的にアルバムを全米で300枚を売った。
『THE FINAL COUNTDOWN』
どんなアーティストでも突然の成功直後のツアーでは、それほどの規模でのキャパではできなくても、次のツアーでは前回ほどのアルバムの売り上げを達しなくても、もっと大きな規模でできるようになるパターンは往々にしてあるのだ。
NIGHT RANGERの最大のヒットはセカンドの『MIDNIGHT MADNESS』だが、次の『SEVEN WISHES』はそれほど及ばなかったが、その時は前回を大幅に上回る日本武道館での2日間を実現した。
NIGHT RANGERの85年の来日公演日程は以下。
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4月19日 NHKホール
22日 名古屋市公会堂
24日 福岡サンパレス
25日 大阪フェスティバルホール
26日 大阪厚生年金会館大ホール
27日 東京厚生年金会館大ホール
28日 横浜文化体育館
29日 中野サンプラザ
5月1日 NHKホール
2日 中野サンプラザ
86年の来日公演日程は以下。
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1月27日 日本武道館
1月28日 日本武道館
1月29日 大阪フェスティバルホール
1月30日 大阪厚生年金会館ホール
EUROPEも『THE FINAL COUNTDOWN』が最大のヒットだったが、次の『OUT OF THIS WORLD』はそれほどではなかったが、前回を上回る日本武道館公演2日間を実現した。
因みに、EUROPE の86年の来日公演日程は以下。
↓
9月8日 東京中野サンプラザホール
9月9日 東京郵便貯金ホール
9月11日 愛知厚生年金会館
9月13日 大阪厚生年金会館
そして、88年の来日公演では以下のように飛躍した。
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12月3日 名古屋レインボーホール
12月5日 広島郵便貯金ホール
12月6日 大阪城ホール
12月8日 日本武道館
12月9日 日本武道館
12月13日 仙台市体育館
12月15日 横浜文化体育館
両者とも、最大の成功があだになったのか、次のアルバムはキーボードをよりふんだんに使うことをしまって、音楽性に迷いを感じる出来になってしまうことがあるのだが、NIGHT RANGERとEUROPEは、奇しくも同じような迷盤になってしまったのだ。
NIGHT RANGERの『BIG LIFE』、EUROPEの『OUT OF THIS WORLD』がそれである。
『BIG LIFE』
『OUT OF THIS WORLD』
NIGHT RANGERはその前作がプラチナを獲得したが、その作ではゴールド(50万枚)で終わってしまった。
EUROPEは『THE FINAL COUNTDOWN』は300万枚を売ったが、その作では100万枚で終わってしまったのだ。
『BIG LIFE』の出来は、かなりレベルの高かったアルバムであり、完成度がデビュー以来最高の出来といっていいだろう、それは断言できる。
※参考動画
“Love Is Standing Near” 『BIG LIFE』収録
EUROPEの作品はデビューとセカンドは粗削りだったが、サードはかなりレベルが上がり、次の『OUT OF THIS WORLD』も同様だった。
※参考動画
“Let The Good Times Rock” 『OUT OF THIS WORLD』収録
しかし、『BIG LIFE』にしろ『OUT OF THIS WORLD』にしろ、キーボードを使いすぎた、といったことが批判の対象にされた箇所である。
しかし、謙虚に聴くもそんな批判を受ける筋合いはないし、何よりも佳曲の数が増えたのだからそれは不問にしていいだろうと思ったのだが、それは他のファンにはそれほど受け入れられないことだったのだろう。
セールが両者とも落ちてしまったのだった。
※参考アルバム
・NIGH RANGER
BIG LIFE
・EUROPE
輸入盤 Out of This World
国内盤 アウト・オブ・ディス・ワールド
それから起死回生を図ろうと、両者ともヘヴィさを前面に出し、キーボードを抑えた出来にしたのだ。
NIGHT RANGERは『MAN IN MOTION』、EUROPEは『PRISONERS IN PARADISE』を出したが、両者ともゴールドに届かないで終わってしまったのだった。
『MAN IN MOTION』
『PRISONERS IN PARADISE』
しかし、それらもやはり私はすんなり受け入れられたモノだったが、世間の目はそれほど寛容でなかったのだ。
そういった精神的な寛容の度合いが高いがゆえに、私は今もってもHR/HMのファンでいられるだろう(笑)
私の中学校時代に音楽を聴いていた人で、今もそれを継続している人はごくわずかだ。
そういう迷盤を出した後に、アーティストがすべきことはバンド活動を継続して、アルバムを出し続けることだ。
しかし、これも共通する事項だが、両者とも解散を選択することになってしまったのだった。
NIGHT RANGERは、あまりにヘヴィさを強調するあまり、それまでのアーティストの強みだったバラードを入れないでレコード会社に出したが、それではだめということを言われて、バラードを2曲付け加えて、その2つがシングルカットされたが、レコード会社の希望通りのヒットにはつながらず、レコード会社は次のアルバムを作る気力が失せて、バンドは違うレコード会社を探そうとするが、レコード会社は「まだ契約が残っているのに別の会社を選ぶなら、賠償金を払え!」と理不尽なことを言われ、仕方なく解散を選択した。
そのレコード会社とのトラブル以外にも、メンバー内でちょっとした意見の相違もあったようだ。
ものすごく大好きなバンドだったゆえに、ものすごく残念だったが、その解散から8年後にオリジナルメンバーでの再結成が果たされることになる。
NIGHT RANGER 97
EUROPEは、92年にツアーが終わり、その後にシンガーであるジョーイ.テンペストのソロ作を作ることになって、とりあえず休止ということになって、ジョーイは2枚のソロを出すがどうもスウェーデンの民謡というか、あまりに味気ないポップのような感じで、EUROPEファンにはアピールできないアルバムだったことを覚えている。
そういう経緯があったが、解散宣言をしていなかったのに、いつの間にか解散ということになっていたようだ。
全世界がミレニアムを迎えるということになって、当然そのモチーフに合うのは、あの世界中でヒットした“The Final Countdown”にほかならず、その曲を迎えながら新年を迎えることになりEUROPEのメンバーが招集されて、あの曲が世界の舞台で歌われた。
その時、このバンドのリーダー兼シンガーであるジョーイ曰く、「自分はもうロックをやる年齢ではないからEUROPEの再結成はない。」と世界の期待に反することを言っていたが、そんなことはロックをしない言い訳にはなりえず、4年後にオリジナルメンバーでの再結成が果たされた。
EUROPE 2004
しかし、ここでもまた同現象が起きたのだが、両者とも復活を祝えるようなアルバムを出してはくれなかったのだった。
期待していたようなアルバムでなく、かといってそれほど良くもなく、それほど悪いわけではないといった感じだった。
これほど同じ現象が続く2バンドは珍しい。
その後は、両者ともアルバムを定期的に出していたが、それがかなってアルバム発表ごとに来日公演ができる結果になっている。
あまりにアルバムを出さなすぎでいると、いきなり突拍子的にアルバムを発表しても、来日公演ができなくなってしまうパターンは往々にしてある。
しかし、両者の人気は、日本では差が出てしまったようだ。
EUROPE の最新の来日公演をみると、東京でのそれはクラブでの3日間であったが、NIGHT RANGERのそれは中級ホールで3日間で落ち着いている。
両者とも、再結成後の最初のアルバムはよくなかったが、その次以降は佳作といえるアルバムや駄作といえるアルバム両方を出してきたのは事実だが、それでもこの両者の差はどこから出てくるのだろうか?
それは、最近の両者のファン全部に訊いてみるほかないが、それは不可能だろう。
それにそれが可能だとしても、1人1人に詳しく最近のアルバムはどのようにいいか、そしてどうして来日公演に行く気になったかといった詳しい精神内容を訊くことで初めて可能なのだから、かなりの時間を要することになる。
そんなことをしている暇がある研究者は皆無だろう。
ゆえにそんな作業をしようとは思わない(笑)。
その差がある事実を明らかにしたことで、EUROPEを貶すことでもなければ、NIGHT RANGERを無意味に援護するわけでもないことはお断りしておきたい。
私は、単なる事実をむき出しにして提示した単なる知的遊戯をしているだけに過ぎない。
しかし、中級ホールで3日間。
今、これだけの規模でできるバンドは、HRではなかなかない。
今はヘヴィでラウドなバンドの時代ではあるが、そういったバンドでも、これだけの規模でできるパターンは指で数える程度でしかないのだ。
東京公演を中級ホールで3回もできるというのは、ハードロック全盛の時代でもなかなかなかったし、プラチナ以上の売り上げを出していたバンドに限られていたのだ。
しかし、大変に頑張ってきてくれていたが、EUROPEの人気はNIGHT RANGERのそれに後塵を拝している。
世界15か国でナンバーワンというような偉業はNIGHT RANGERにはないが、それでもEUROPEの日本での人気を完全に上まっているのは事実だ。
両者の人気は80年代に爆発した。
L.Aメタルが大いに隆盛を誇ったのも80年代だ。
MOTLEY CRUE
その四天王といわれたのは、大物順にMOTLEY CRUE,RATT、DOKKEN、KEELである。
NIGHT RANGERは、MOTLEY CRUEには当然敵わないが、次のRATTでもいまのNIGHT RANGERにはかなわないだろう。
RATTが今来日公演をおこなっても、中級ホールで3日間はまず無理であろう。
最盛時にRATTは日本武道館で2日間を敢行したのは周知の事実ではあるが。
RATTも解散、復活を経て、2010年に往年のヒット曲を網羅したような素晴らしいアルバム=『INFESTATION』を出してくれて、期待大だったが、またしても喧嘩が勃発して、RATTという名を冠する2つのバンドに分裂してしまい、バンドの顔であったウォーレン.デ.マルティーニはどちらにも属さず何をしているのかすらわからない。
やはり、サラリーマン世界ではそんな不遜な態度では飯を食っていけないが、印税で生活できる人たちは、そういうことをしていてもいいからたちが悪いのだ(笑)
そんな理由で、L.AメタルでNIGHT RANGERに太刀打ちできるのはMOTLEY CRUEだけという結果になっている。
しかし、これほどアウト(=ファンを辞める人)の少ないバンドは珍しいだろう。
しかも、ゴールド以上のヒットは80年代だけで、それ以降全くそのレべルのヒットはないにもかかわらずである。
謎のベールに包まれた不思議なバンドであるNIGHT RANGERは!
これからも、NIGHT RANGERを応援していきたいと思う。
勿論、EUROPEもである。 以下、両者のベストアルバムを紹介したい!
●NIGHT RANGERのは以下。
↓
Final Countdown: Best of
●EUROPEのベストアルバムは以下。
↓
EUROPE BEST
●以下のサイトでも取り扱っています。
↓
タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD
今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。
※参考ページ