最近、EMPERORのオフィシャル.ライヴDVDである『Live At Wacken Open Air 2006』をよく観るようになった。
その名の通り、2006年の『Wacken Open Air』に出演した時のライヴを収めたものだ。
しかし、2006年の参加ラインナップは、下の写真を見るだけではわからないのだ。
2か月以上の長きにわたって開催されるようだが、どのバンドがどの日に参戦し、その日の出演順位はまるで分らない。
そのイベントのホームページにいって確認しようとするも、タイムテーブル等は一切書かれていない。
日本の『LOUD PARK』とは大違いだ(笑)
しかし、この映像を観ると、夕焼けが完全に消える前で、終演のころには完全に更けた夜空になっているので、EMPERORがトリだったのだろう。
しかし、このバンドが○国で何百万枚アルバムを売ったとか、あるいは世界でどれだけ売ったといったような情報は聞いたことがないし、記載もない。
しかし、この『Wacken Open Air』の会場は余裕で7万人は入る野外の会場だ。
そこでトリを務めるとは…と驚嘆の意にならざるを得ない。
EMPEROR
そして、開演してから演奏が続いても、観客が帰る様子は全くない。
かなりの支持のされようだ。
“Infinity Burning [medley] + Cosmic Keys To My Creations & Times” 『LIVE AT WACKEN』より
このライヴは、デビューアルバムのドたまを飾る“Into the Infinity of Thoughts”のイントロから始まるが、その音を聴いているだけで興奮してくる。 気が奮発する。
やはり、自分はこのバンドのファンなのだなあと実感する瞬間だ。
このバンドは94年にメジャーデビューして、2001年に解散し、2005年に再結成した。
それまでのアルバム数はわずか4枚である。
その4枚の中からベストチョイスと思われる曲が演奏されたライヴである。
しかし、このライヴで、このバンドの代名詞の曲の1つである“Inno A Satana”をする際に、このバンドのシンガーであるイーサーンは、観客に向かって「Inno What?」と呼びかけ、観客が「Satana!」と返す。
それが3回ほど繰り返された後に、曲が繰り出されるのはライヴ恒例のことだ。
それが、ここでも繰りだされる。
その曲を観客全体が知っていなければ単なる茶番劇でしかないが、それは観客の殆どは知っていて、敢然と受け答えがなされる。
そんな人気が土台として固まっているのかこのバンドは、と驚嘆以外何物でもない。
“Inno A Satana” 『LIVE AT WACKEN』より
この様子を見ると、今年の『BURRN!』の5月号に書いてあった「EMPERORは海外でおこなわれる数万人のフェスでヘッドライナーを務めるバンドだ」という文言を思い出す。
2005年以降、ニューアルバムは一切だされていないのだ。
それなのに、この公演はもちろん、それ以降のフェスでも、ヘッドライナーかセカンドビルがあたりまえになっているから不思議だ。
日本の『LOUD PARK 2017』でも、あのアリス.クーパーを退けて、セカンドビルになった。
ミリオンや千万単位の大きなセールにはならないものの、水面下で小さいながらもマテリアルが売れ続けているからこそ、こういうことが可能なのだろう。
私は『LOUD PARK 2017』でその良さに耽溺して、このバンドのモノはすべて収集した。
それくらい音楽が良かったのだ。
ヘヴィかつパワフルで、スピーディでドラマティック、怠さを感じる瞬間がまるでない。
それでいて演奏や歌唱のプロフェッショナリティがとてつもなく高い。
こういうものを私はメタルバンドに求めていたのだが、それをEMPERORが見事に体現してくれたのだ。
しかし、2001年以来、ずっとスタジオアルバムを一切出していないのが気になるところだ。
今年も、来日公演が行われて、それに行ったが、その会場はEX-THEATER ROPPONGIだ。
その会場は1800人弱が入る中級ホールだ。
アルバムリリースなしで、このキャパ…凄い!
聴いたファンの心を一度掴んだら離さない…そんな魅力があるのだろうし、かくいう私もそうだ。
会場で高値だったTシャツも惜しげもなく買った。
先の『BURRN!』の5月号のインタビューにおいて、イーサーン曰く
「EMPERORの新しいアルバムは出るのかって、頻繁に質問される。
俺とサモスは、時々その話しをするんだ。
俺たちにとってその時と感じられればね。
だけど、今の俺たちはあまりにも離れすぎているのかもしれない。
EMPERORでこれを試してみようサクソフォンを入れてみようと俺が言っても、サモスが(眉をひそめた表情をしながら)「駄目だ」という。(笑)」
ということだ。
要するに、このバンドの2大コンポーザーの音楽性が乖離してしまっているということだろう。
2人が合わさって同じバンドで活動しなければ、いい音楽が作れない。
そして、前に出したアルバムもほとんど売れていないし、フェスにもよばれないし、単独ライヴをしようにも観客が集まらないというのならば、妥協してしたくない同じバンドで活動していく必要はあるが、前に出したアルバムはすべていまだ入手可能だし、いろんなフェスでよばれている。
ならば、乖離している状態で、無理やり活動する必要はないのだ。
ファンとしては作ってほしいところだが、そのアーティストが食い扶持に困っていないのならば、あえてすることはないのだ。
イーサーン
ことはEMPERORのみならず、活動歴の長いアーティストは、どれもアルバムリリースの頻度は年の経過とともに落ちていくし、全然出していない例も多いのだ。
EMPERORの場合、それぞれが他のバンドをやったり、ソロアルバムを再作したりといったことで、そちらの方が忙しいようだ。
イーサーンは、EMERORのスタジオアルバムの4枚よりも多い、7枚のソロアルバムをこれまで出している。
実に珍しいパターンだ。
EMPERORの音楽は、幽玄でドラマティック、そして荘厳、奥行き深いといった形容詞が当てはまるだろう。
そういったブラックメタルのそれを、更に相乗効果をもたらすには、オーケストラとの共演が最高なのは言うまでもない。
これまで、METALLICA、DEEP PURPLE、YNGWIE MALMSTEEN、STEVE VAI、FOREIGNER、ACCEPT、WITHIIN TEMPTATIONといったアーティストがオーケストラとの共演を果たし、全てオフィシャル盤のDVDになってきた。
そして最近NIGHT RANGERも、その公演をおこない,その模様がDVD化されたのだ。
そして、次はEMPERORにしてほしいと思っているのだ。
こういったバンドですら、その相乗効果を生んできたのだから、ブラックメタルバンドの音楽は更にその効果をもたらすことは必至だろう。
イーサーンは、自分のソロアルバムにおいて、オーケストラを取り込んだ試作をしているという。
『BURRN!』のインタビューアーが、質問するに「オーケストラとの共演はないのかどうか」というに、イーサーンは自分が気に入っているノルウェイのオーケストラは依頼すると1万ユーロするという。
いま、1ユーロが150円前後だから、1万ユーロは150万円もするということだ。
1日間、オーケストラを起用して、撮影するだけでそれだけするようだ。
勿論、ぶっつけ本番などありえないし、リハーサルを何日もやるとなれば、日本円にして1000万円くらいするのだろう。
そのDVDの製作費や撮影費など諸々の経費を計上すれば、もっと多くかなりの額になるのは明白だ。
オーケストラとの共演をして、そのDVDの制作をするかどうかはイーサーンたち次第だ。
私としては、是が非でもしてほしいが、その通りになるかどうかは確定できない。
私は、そのDVDが出たら、絶対に買うと誓約するが、そんな私個人の意見だけでアーティストを動かせるわけもない(笑)。
しかし、EMPERORの音楽の壮大さ感得している世界中のファンで、私と同じ意見でいる人は数知れずいるはずだ。
そういった人たちが、その意見をアーティスト側にアクセスして、表明していけば、それは叶うかもしれない。
そんな淡い期待をしている。
そんな意見が鑑賞していて出ざるを得ないライヴDVDが、『Live At Wacken Open Air 2006』なのだ。
そのDVDに興味ある人は以下よりどうぞ!
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●以下のサイトでも取り扱っています。
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タワーレコード
【HMV】ローチケHMV|音楽CD・DVD
今回はこれにて終了します。
ありがとうございました。
♯EMPEROR
♯イーサーン
♯wacken open air